こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
僕はNHKが好きです。
最近はあまり見る時間がありませんが、NHKが作る硬派なコンテンツが好きです。
「NHKスペシャル」、「クローズアップ現代」、「BS世界のドキュメンタリー」。
たまたま観た「ヒャダ×体育のワンルームミュージック」や「浦沢直樹の漫勉neo」なんかもマニアックですごく面白かった。
しかし先日、みうらじゅんさんが出ていたNHKの『最後の講義』が面白かったので、もう一回見たいと思ったのに、NHKオンデマンドで見れないじゃないですか。
こういうのを見れるようにするのが公共放送の役割ではないのか?
そういったわけで、またNHKのことについて書きます。
むかし独身のころ、HDDレコーダーが普及し始めて、NHKの番組を片っ端から録画して見漁っていた時期がありました。
それで、戸建て住宅を取得したときに、知的生活の拠点である自分の書斎に「NHKアーカイブス」のような膨大な映像ライブラリーを構築したいと思っていました。
▶「自室に専用TVを導入し、NHKやテレ東のドキュメンタリー、ノンフィクション、情報バラエティ番組などをチェックする。PCかHDDレコーダーにストックする体制を構築する。観たいテレビ番組を観る時間が欲しい」
数年前まではそういう構想を持っていて、愛用していた録画メディアのDVD-RAMをどう活用するかに苦心していました。
それからしばらく時間が経ち、YouTubeやAbemaTVやTVer、またサブスクリプションのNETFLIXやAmazonプライムビデオやU-NEXTなどの動画配信サービスがテレビの競合となり、従来の地上波放送のテレビ番組のプレゼンスが大きく低下しています。
民放はもうほとんど見ません。
実はこういった動画配信サービスと充分戦えるコンテンツを保持しているのがNHKではないのか?
YouTubeにもタメになる動画はたくさんありますが、コストをかけて特定のテーマを丹念に取材して作り込まれたNHKのコンテンツはクオリティが高い。
これまでも、書籍や映像メディアやネットメディアと「知的生活」の関係を考える記事を書き、とりわけNHKについて何度も書いてきました。
しかし、NHK受信料には不満が大きい。
前菅政権は、NHK側に受信料の値下げを強く要求。
その結果、2023年10月から受信料が1割値下げになっています。
地上+衛星契約で、月額1,950円。
僕は12か月分前払にしていて、年額21,765円です。
さて、これを高いとみるか安いとみるか?
「安い」と考える人はいないでしょうね。
NHK見ていないのに、テレビがあるというだけで強制的に受信料を徴収する仕組みというのは、どう考えても不合理だ。
それはその通りです。
僕は、NHK見てなくてもNHKが好きなんで、受信料を支払うことそのものに不満はありません。
でもなんで、みうらじゅんの『最後の講義』が見たいのにオンデマンドで見れないんだ!
NHKのコンテンツは、受信料を負担している国民の共通の財産ではないのか!
あれだけ受信料を取っているのに、コンシューマー向けサービスがまだ弱いんですよ。
コンシューマー向けというのは、バラエティを強化せよという話ではありません。
僕は、NHKのコンシューマー向けサービスの核は、埼玉県川口市にある映像収蔵施設「NHKアーカイブス」、「NHKオンデマンド」、「NHKプラス」だと考えています。
見逃し配信サービス「NHKプラス」は便利ですが、1週間しか配信しないのですぐ消えてしまう。
「NHKオンデマンド」は、受信料とは料金が別立てになっていて、月額990円、単品購入で110~220円取られる。
僕は月額2,189円でU-NEXTに加入していて、U-NEXTでもNHKオンデマンドが視聴できますが、U-NEXTの料金とは別にNHKオンデマンドの料金が取られる。
通常の受信料と合わせたら三重取りになっちゃいますよ。
最近は改善してきましたが、以前は番組数が少ないにもかかわらず、U-NEXTの月額を払ったうえで、さらにNHKオンデマンドの月額会員に誘導するようなサービスになっていました。
「NHKオンデマンド」と「NHKプラス」は今後もサービスの改善を進めていただきたい。
このなかでも特に、NHKのコンシューマー向けサービスのキモになるのは「NHKアーカイブス」だと思っています。
アーカイブスとは、「時代を記録した映像などを保存・活用する施設や機能」のことです。
60万本以上あるNHK製作のドキュメンタリー、ドラマ、歌番組などの映像・音声素材から、権利関係の処理を済ませた約6000本、および埼玉県が所有する映像素材を、自由に視聴することが可能である。また、人形劇の人形、各種の放送用ビデオテープなど放送に関連した資料の展示が行われている。
全国のNHK各放送局と光ファイバー専用線によるIPで結ばれており、制作現場がアーカイブスのライブラリーをパーソナルコンピューターの端末で検索・発注し、発注に応じて所蔵する素材テープを施設内の専用機材で再生しながら放送局へ伝送し、受け手側の専用機材が自動的に録画することで、複製テープを作成される流れで、番組制作へ活用できるようになっている。この方法の確立により、素材テープを放送局まで配送する手間と貴重な素材テープの紛失を抑止することが可能になった。
2007年(平成19年)より、NHKアーカイブスで保存されているテレビ番組の一部を掲載した一覧が、ウェブサイトで公開されることになった。これにより、番組公開ライブラリーで公開されているもの以外のテレビ番組の保存状況も知ることができるようになる。発表どおり、同日よりNHK放送番組記録 NHKアーカイブス保存番組検索(NHKクロニクル)として公開されている。
製作された当時の映像を、当時の雰囲気そのままに伝えるために、映像・音源に対するデジタルリマスタリング(修復)処理もここで実施している。
NHKアーカイブスの機能をまとめると、以下のようになります。
▶NHK映像素材の収集・保管
▶映像資料のデジタルリマスタリング(修復)
▶デジタルデータによる各所への伝送
▶デジタル映像資料への検索アクセス
教育施設からアーカイブスへアクセスして授業に活用したり、大学の研究所などからアクセスして研究に活用したり。
究極は、全国民からNHKの全映像資料へのフリーアクセスの実現です。
書斎からNHKアーカイブスへのアクセスが実現すれば、国民の「知的生活」のレベルも著しく向上する。
「60万本も番組があるのに、自由に視聴できるのは6,000本しかないって少なすぎない?」
「みうらじゅんの『最後の講義』はなぜ見れないんだ!」
しかし、NHKアーカイブスには、権利保護という重大な障害があるようです。
デジタルリマスター処理を行った番組の全てが、公開されるわけではない。それは、法律に基づく様々な権利関係の処理作業が必要となるからである。
アーカイブス番組でも、そのあたりの事情が説明されたが、デジタルリマスター処理と平行して、番組に映った人物などを全て割り出し、本人や遺族など関係者と連絡をとって、再放送や公開に関しての了解を得なければならない。ひとりでも了解が得られなければ、その番組は再放送・公開することができない。
ああ・・そういうことか・・。
これは確かにハードルが高い。
NHKの全映像資料へのフリーアクセスはムリゲーだ。
みうらじゅんも肖像権でOKしなかったのでNHKオンデマンドで見れないのか・・。
NHKアーカイブスには何としても権利保護の問題を地道に解決し、少しでも多くの貴重な映像資料に国民がアクセスできるようお願いしたいところです。
僕はそのために受信料を払っているんだと思っています。
Googleのストリートビューみたいに、写り込んだ人に人海戦術で片っ端からモザイクかければいいんじゃないか?
国内のサービス業につまらない規制をかけてるから、海外のサービスに出し抜かれるんですよ。
勝間和代さんは、著書で次のように書いていました。
わたしがコンサルタントとして習った4Pというフレームワークでは、商品(Product)の品質と同じくらい、価格(Price)・広告宣伝(Promotion)・流通(Place)が大事で、その4つのPのバランスをとらなければならないのですが、日本では、多くのことが、ひたすらProductの品質を追いかけて、他のPをおろそかにする傾向があります。公的なものも私的なものも、さまざまな商品・サービスについて、とにかく準備して、売り出しをするものの、拡販はほとんどなされません。
その結果、せっかくの良いものも売れないのです。あるいは知られないのです。
なぜか日本の企業経営者や官僚は、マーケティングというかコミュニケーションを軽視するようなところがあり、いいことをやっていれば誰かがきっと気がついて引っ張ってくれるだろうといった甘えの習慣があるようなのです。 (『ズルい仕事術』)
これを「マーケティングの4P」というそうです。
NHKが持っている膨大で貴重な映像資料には、無限の可能性があります。
必要な場所に、適切なマーケティングを行い、適正な価格で売れば、NHKのコンテンツはもっと売れる。
受信料を徴収しなくても、勝間さんが指摘するように、「価格(Price)」「広告宣伝(Promotion)」「流通(Place)」に取り組むことによって、マネタイズの方法はいくらでもあるはずです。
その結果として、国民から徴収する放送受信料をもっと引き下げることが可能になるでしょう。
NHKには何とかこの考えが伝わってほしい。
頑張っていただきたいものです。
そして、みうらじゅんの『最後の講義』をいつでも見れるようにしてください。
本日の記事は以上です。