こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
僕はいまから2年前に過労とパワハラで半年間も休職した人間です。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していたんですよ。
さて休職して自分と向き合う時間ができたので平成の振り返りをしたいんですが、僕にとって平成の30年間(から令和の現在まで)ほぼどっぷりヘヴィメタルを聴いて過ごしてきたんですね。
そこで平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。
過去は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は生々しく鮮烈に思い出されますよね。
第27回目は英国のCradle of Filth(クレイドル・オブ・フィルス)の2枚目のフルレンスアルバム「Dusk and Her Embrace」です。
「Dusk and Her Embrace」は1996年リリースで、1996年は平成8年になります。平成8年は筆者が22歳のときに当たります。
■1996年の日本(wikipediaより)
◆日本国内のウェブサイトが増加。1996年3月から翌1997年3月までの一年間に推定8.76倍増加した◆ポケットモンスター赤・緑(任天堂)やたまごっち(バンダイ)といったゲームが発売されヒット◆歌手安室奈美恵のファッションを真似たアムラーが出現する◆女子高生にミニスカートやルーズソックスが流行◆女子高生の援助交際が社会問題化。『援助交際 - 女子中高生の危険な放課後』(黒沼克史)がヒットし、流行語大賞にもノミネート◆原爆ドームが世界遺産に登録
◆ベストセラー:渡辺淳一『失楽園』野口悠紀雄『「超」勉強法』◆映画:『Shall we ダンス?』『岸和田少年愚連隊』『キッズ・リターン』『スワロウテイル』...etc.
Cradle of Filthは1991年に英国のサフォークで結成されました。
ブラックメタルといえば北欧ですが、地理的に北海を挟んでわりと近いこの地で白塗りメイクバリバリのこのバンドが生まれたんですね。
ヴォーカルのダニ・フィルスは不変のフロントマンですがそれ以外のメンバーは激しく入れ替わっています。
僕がよく参照する「Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives」によれば、ジャンル的には初期はデスメタル、中期はシンフォニックブラックメタル、後期はエクストリームゴシックメタルとなっているようです。
2022年現在、フルアルバムだけで約13枚の作品を発表し、シングル盤やベスト盤やライヴ盤や企画盤などを含めると数えきれないほどの作品をリリースしているバンドです。
今回取り上げたいのはバンドの初期のCDで代表作「Dusk and Her Embrace」ですね。
僕はこのバンドの作品を全部聴き込んでいるわけではなく特に最近のモノは持っていません。繰り返しになりますが、作品が膨大な数でとても追い切れません。
僕がこのバンドの歴史を評するとき、ドラムプレイヤーで三期に分けられると思います。
ニコラス・バーカーがドラムをプレイした初期、At the Gatesのエイドリアン・アーランドソンが在籍していた中期、そしてマーティン・マルテュス・スカロウプカがプレイする後期ですね。
エイドリアン・アーランドソンに交替したとき、明らかに彼らのブラックメタルスタイルに合っていなくてガッカリした記憶があります。
本作「Dusk and Her Embrace」は、メロディックでシンフォニックでシリアスな正統派ブラックメタルを演奏しています。
またアイアンメイデンのようなツインギターの正統派HMのアプローチがベースとなっていることもこの作品の大きな特徴です(ギタリストのクレジットはスチュアート1人ですが)。
ドラマーのニコラス・バーカーは巨漢ながらパワーとテクニックに優れ、エクストリームメタルを代表するプレイヤーの1人です。
とにかくこの作品は全曲捨て曲無しで、随所にクラシカルでシンフォニックな泣きのパートを挿入。クライマックスの洪水です。
タイトルトラックの「Dusk and Her Embrace」などライヴでの定番曲が多数収録されています。
ポニーキャニオンから発売された日本盤には5曲目に「Nocturnal Supremacy」の新ヴァージョンとスレイヤーのカヴァー「Hell Awaits」も収録されています。
全曲捨て曲無しなんですが、本作のハイライトは3曲目の「Funeral in Carpathia」、そして4曲目の「A Gothic Romance」です。
何度聴いても名曲ですね。
ちなみにこの作品のプロデューサーを務めたキット・ウールヴェンは2022年に亡くなりました。
他にもシン・リジーやカテドラルの作品を手掛けていました。
ブラックメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、ブラックメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
筆者も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのCradle of Filthのように、粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。
☟CacohonousよりMusic For Nationへ移籍して96年にリリースされた2ndフル・アルバム『DUSK AND HER EMBRACE』のオリジナル・ヴァージョン。1stアルバム『THE PRINCIPLE OF EVIL MADE FLESH』時よりベースがHECATE ENTHRONEDのJon Kennedyに替わってのラインナップで95年にレコーディングされた音源。96年『DUSK AND HER EMBRACE』とは異なる曲もあり。そしてこちらの方にもSarah Jezebel Deva(後にCOVENENTやTHERIONにも参加)やVENOMのCronosがゲスト参加。さらにSteve Grimmettがナレーション・パートに参加していたりもする。デモ音源2曲がボーナス・トラックで収録。
https://diskunion.net/metal/ct/detail/HMHR170307-001