こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
仕事人間だった僕はきっつい上司に潰され、5か月以上休職したのち先月復職しました。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していました。
さて、平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。歴史は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は鮮烈に思い出されます。
第6回目はCynic(シニック)の1枚目のアルバム「Focus」です。Focusは1993年リリースで、1993年は平成5年になります。平成5年は僕が19歳のときに当たります。
■1993年の日本(wikipediaより)
◆形状記憶ワイシャツや3つボタンスーツが発売され、話題となる◆スズキ・ワゴンRが発売され、ロングセラーとなる◆ナタ・デ・ココブーム◆横浜ランドマークタワー竣工◆ベストセラー:五木寛之『生きるヒント』遠藤周作『深い河』◆映画:『クリフハンガー』『月はどっちに出ている』『学校』『ゴジラvsメカゴジラ』『お引越し』...etc.
2020年1月、Cynicのドラマー、S.レイナートが亡くなったというニュースを知り、落胆しました。
Cynicはアメリカのフロリダで1987年に結成されました。
フロリダは当時、デスメタルバンドが割拠していて、S.バーンズという名プロデューサーのいるスタジオがあり、デスメタルの聖地と呼ばれていました。
先日、Deathの4枚目のアルバム「Human」について書きました。僕は当時20歳前後だったと記憶していますが、Humanのギターとドラムを演奏しているのがCynicのメンバーだと知り、すぐさまCynicの「Focus」を買いに走り、そのあまりの音楽性の高さに度肝を抜かれたのを覚えています。
デスメタルというフォーマットに、宇宙的というかオリエンタルなテイスト、ジャズ、フュージョン、プログレの要素を持ち込み、特定のジャンルに収まらない音楽をやっています。
個々のメンバーの演奏技術、表現力の高さも驚愕でした。しかしバンドはこの1枚の作品を残して解散してしまいます。(個人的にはFocusに参加していたJ.ゴーベルも好きでした。彼はGordian Knotというプロジェクトに参加したくらいで、ほとんどFocus以降のキャリアがないのがもったいない。今何をしているんでしょうか・・・。)
この後バンドのメンバーはそれぞれの音楽活動を行っていましたが、何と15年後の2008年に再結成のフルアルバム、「Focus」と同一路線の「Traced in Air」という作品を出し、世界中のマニアを狂喜乱舞させました。
バンドの頭脳でありフロントマン、P.マスヴィダル、ベーシストのS.マローンは健在で、彼らがいる限り活動を続けてくれるだろう。
個人的には若い優れたセッションギタリスト、ミュージシャンを起用して、重層的なCynicの音楽作りに貢献して欲しいですね。
また、その音楽性の高さとともに、バンドのアートワークを手掛けたRobert Venosaの作品も素晴らしいです。彼の作品があったからこそ、Cynicの音楽が芸術の域に高められたのではないでしょうか。
デスメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、デスメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
僕も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのCynicのように、粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。