こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
2023年になりました。
明けましておめでとうございます。
さて3年前に休職して以降、自分と向き合うために読書に力を入れることにしました。
当初は「年間100冊読もう!」と意気込んだのですが、2020年以降、毎年50冊ペースで読書しています。
それでも以前は年間2~3冊しか読んでなかったので、十分多読生活だと言えます。
休職してからたくさん本を入手するようになって、蔵書は190冊くらいになりました。
これまでに読んだ本はもちろん150冊超えているのですが、「読んでブログに100冊レビューを書く」ことを目標にしてきて、レビューも100冊を超えました。
読書の記録や蔵書の管理は「ブクログ」というアプリを使用しています。
今回の読書レビューは、心療内科医・医学博士である森下克也さんの『もしかして、適応障害?会社で壊れそうと思ったら』です。
僕は冒頭に書いたように3年前に休職したわけですが、その原因は過労と上司によるパワハラです。
これは今考えてもはっきりしています。
朝仕事に行けなくなり精神科に駆け込んで診断書を書いてもらって休職したわけですが、そのときの診断名は「不安・抑うつ状態」というものでした。
そのときに書いた記事が以下のものです。
いろいろ考えたんですが、自己診断では「適応障害」ではないかと思ったわけですね。
森下克也さんの『もしかして、適応障害?会社で壊れそうと思ったら』では、うつ病と適応障害について次のように分けています。
「うつ病が発症の引き金にとらわれないことがあるのに対し、適応障害は外部環境のストレスが発症要因として必ず存在する」
このようにおっしゃっています。
外部環境のストレスとは、過重労働や転勤やパワハラなどです。
だから、僕の場合も「適応障害」に該当するわけです。
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森下さんは本書のなかで医師が適応障害をどう診断するのかについて書いています。
心の病気の診断は、米国精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSMー5)に則ってなされ、適応障害については次のようになっています。
A はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから三か月以内に情動面または行動面の症状が出現
B これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち一つまたは両方の証拠がある
①症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても、そのストレス因に不釣り合いな程度や強度を持つ著しい苦痛
②社会的、職業的、または、ほかの重要な領域における機能の重大な障害
C そのストレス関連障害はほかの精神疾患の基準を満たしていないし、すでに存在している精神疾患の単なる悪化でもない
D その症状は正常の死別反応示すものではない
E そのストレス因、またはその結果がひとたび終結すると、症状がその後さらに六か月以上持続することはない
診断には、AからEをすべてみたさなければなりません。
このように、適応障害の診断は「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSMー5)によってなされるとのことです。
森下さんはDSMー5による診断にも問題があるとおっしゃっています。
例えば、「症状がその後さらに六か月以上持続することはない」というのは、六か月経過してみないと分からないことであり、そのあいだ診断が下せないことになってしまいます。
だから、森下さんによれば、元気に働いていた人が明らかなストレスにさらされ、心身の症状が出現し、両者の間に明確な因果関係が推測されれば、その時点で「ひとまず」適応障害と診断するのだそうです。
まあ、森下さんの指摘には納得できます。
僕は以前記事を書いたときに調べたんですが、適応障害の診断には「世界保健機構の診断ガイドライン(ICD-10)」が用いられるとなっていました。
ICD-10とDSMー5とは、別物のようですが、まあ似たようなもんでしょうね。
DSMー5には「症状がその後さらに六か月以上持続することはない」とありますが、僕の場合、ストレス因が除去されても3年間ずっとしんどくてメンタル不調だったんです。
この理由が僕自身今だに分かっていません。
森下さんは豊富な臨床経験から、患者の目線で見た適応障害の症状や対処の仕方について、この本で包括的に書いてらっしゃいます。
森下さんは適応障害に対応する医療について、薬や自宅安静やカウンセリングが適切になされていない現状について問題提起されています。
まだ適応障害の医療は発展途上だというのですね。
それでも森下さんは漠然とした「仕事に行けない」という悩みに対して真摯に向き合い、どのような人が適応障害にかかりやすいか、ストレス反応がどのような症状をもたらすか、職場というストレスにどう対処するか、どうセルフコントロールを行うか、といったことについて論述されています。
また、医師の上から目線ではなく、患者として医師とどううまく付き合うか、自宅安静をどう過ごすか、復職者としていかに振る舞うか、といったことについて伴走型の視点で書いてらっしゃいます。
精神疾患に用いられる薬剤についての一覧表も載っていて参考になります。
メンタル不調の休職経験から数年経った人が読んでも、自分が置かれた状況は何だったのかということについて、包括的に理解できる内容となっています。
何となく働くことのしんどさ、生き辛さを抱えている。
そういう自分ともう一度客観的に向き合うのに参考となる書籍だと思います。
本日の記事は以上です。
☟『もしかして、適応障害?会社で壊れそうと思ったら』森下克也 著(CCCメディアハウス)