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ソニー「キャリア開発室」の話がつらい。現在どうなっているのか?

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。 

 

なにかの本で、ソニーの「キャリア開発室」の話を見かけました。

ネットで調べると「キャリアデザイン室」との記述もあります。

 

いわゆる「追い出し部屋」。

または「リストラ部屋」とも。

 

追い出し部屋 - Wikipedia

 

このことについていくつかのネットメディアの記事がありまして、読んでいて辛くなりました。

 

www.sentaku.co.jp

 

toyokeizai.net

 

最初の記事は『選択』という情報誌のもので、転載禁止となっているので記事の引用は避けますが、2012年ごろの記事。

 

次のは「東洋経済オンライン」のものです。

これは2013年の記事。

 

いずれの記事も読んでいて辛くなる。

 

jbpress.ismedia.jp

 

当時、このソニーのリストラについて書いているのは、ノンフィクション作家でジャーナリストの清武英利さんです。

多数の著書がある方です。

 

『切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか』(講談社2015年)。

『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で観た夢』(講談社+α文庫2016年)。

 

「奪われざるもの~」は、「切り捨てSONY」の文庫版になるでしょうか?

 

清武さんは、プロ野球読売巨人軍取締役球団代表、取締役編成本部長・ゼネラルマネージャー、オーナー代行などを務められた人のようですね。

 

2011年に、読売巨人軍取締役社長の渡邉恒雄ナベツネ)氏を告発、いわゆる「清武の乱」で同社を退職。

 

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このソニーの事例は、日本の経済状況が悪化し、ソニーのような大企業ですら人員削減が課題となった10年くらい前の話になります。

 

これの根本的な原因は、いわゆる「解雇権濫用法理」の問題にあります。

いわゆる「整理解雇の4要件」とも言われます。

 

雇用者側が「合法的に」従業員を解雇や降格するためには、労働契約法に定められた「合理的理由のない解雇は無効」「権利濫用の禁止の原則」をクリアする必要がある。すなわち判例により整理解雇を実施するために満たさなければならないとされた「人員削減の必要性」「解雇を回避する努力の有無」「対象者選定の合理性」「手続きの妥当性」の4要件が必要とされる。(Wikipedia

 

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使用者側弁護士である倉重公太朗さんらが書いた『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか』においても、この問題が指摘されています。

 

解雇権濫用法理が厳しすぎるため、雇用のミスマッチが生じても、企業としては解雇裁判で敗訴するリスクを恐れて、労働者が自ら辞めると言うまでミスマッチが解消できないという弊害があるということである。そのため、退職勧奨(通常の退職勧奨は何ら違法ではない)に応じてくれればよいが、応じてくれないミスマッチの社員がいた場合、時には「度が過ぎた」退職勧奨を行い、退職勧奨に応じてくれるまで「追い出し部屋」に配属するという現象が起こるのである。

要するに、「追い出し部屋」の問題は、解雇権濫用法理と、ミスマッチ人員を解消したいという現場の要望の狭間から生まれた「ひずみ」なのである。

「追い出し部屋を規制しろ!」という単純な議論では解決できない。

労働者を守るための法理が、別の形で労働者を苦しめている現実は、やはり皮肉である。

 

倉重公太朗さんはこのように指摘しています。

 

使用者(経営者)側にとっても、この「整理解雇の4要件」に頭を悩ませており、結果として嫌がらせのような形で、間接的に退職に追い込まざるを得ない状況を作り出しています。

 

今現在、ソニーのキャリア開発室、あるいはキャリアデザイン室はどうなっているのでしょうか?

 

ネットを見た限りでは、その後の状況に関する情報を得ることはできませんでした。

 

経済状況が当時とは様変わりしていますし、露骨な追い出し部屋は社会問題化される恐れがあるので、廃止されているかもしれません。

 

しかし、当時の暗黒時代として語られていることが、現在さらにポピュラーな形で一般化しているのではないか?

 

現在「キャリアチャレンジ制度」といったものがあるようですが、もしかしたら形を変えた「キャリアデザイン室」となっているかもしれません。

 

先に触れた「解雇権濫用法理」「整理解雇の4要件」を、労働者にとっても使用者にとってもウィンウィンとなるような制度に見直さなければ、真の解決には至らないでしょう。

 

本日の記事は以上です。