こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
ドイツ在住歴が長いジャーナリストの熊谷徹さんが以下のツイートをなさっており、興味深いです。
ドイツの年間平均労働時間は日本よりも17%短いが、平均年間賃金は日本よりも42%多い。 この統計を見ると、日本経済が低賃金と長時間労働によって支えられていることが、はっきりわかる。 pic.twitter.com/sojooMTVwq
— 熊谷 徹 (@ToruKumagai) 2023年8月17日
ドイツの年間平均労働時間は日本よりも17%短いが、平均年間賃金は日本よりも42%多い。 この統計を見ると、日本経済が低賃金と長時間労働によって支えられていることが、はっきりわかる。
このデータだけ見ると、日本とドイツは大違いだと思いますよね。
ドイツ人は労働時間が少ないのに、そんなに稼いでいるのかと。
しかし、上の熊谷さんのツイートに対して、以下のような返信がありました。
「物価と可処分所得、社会保障と失業率が加味されない比較は恣意的で意味がない」
「可処分所得、税金、社会保障まで比較しないとフェアでないですね」
まあ、確かにそのあたりを加味して、注意深く見ないといけませんね。
失業率まで加味する意味が分かりませんが。
僕は熊谷さんや加谷珪一さんの著書から引用して以下の記事を書いたことがあります。
この記事の要点は、熊谷さんのツイートと同じく、日本人はドイツや北欧諸国と比べて、長時間労働・低賃金で、労働者を使い潰しているのではないか?というものなんですよね。
僕を含めて多くの人が同じ感覚を持っていると思うので、今の政府は何やってんだ!という感じです。
しかし、繰り返しになりますが、「物価と可処分所得、社会保障と失業率が加味されない比較は恣意的で意味がない」「可処分所得、税金、社会保障まで比較しないとフェアでないですね」といった意見もありました。
そこで、労働時間や可処分所得や国民負担率の国際比較を確認しておこうと思った次第です。
ちなみに国民負担率とは、国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合のことです。
まず、労働時間ですね。
年間の平均労働時間です。
【引用元:株式会社小川製作所】
120 長時間労働は過去の話? - 既に日本は労働時間の短い国 | 小川製作所 東京都葛飾区 溶接・研磨・精密加工 医療・半導体・航空
小川製作所という会社のサイトから引用させていただきましたが、2019年のデータでは日本が1,644時間/年に対して、ドイツが1,386時間/年となっています。
この資料では日本が18.6%長いです。
世界的に見ても、ドイツは際立って労働時間が短いですよね。
ドイツ人は基本的に残業禁止なので、隠れ残業しているのではないか?という疑惑もありますが・・。
意外なのは、日本の総労働時間の平均がOECD諸国の平均を下回っていることです。
それだけパートやアルバイトなどの非正規雇用や高齢者の雇用が増えているのかもしれません。
このサイトだけだとアレなので、別のサイトも参照します。
国際統計の専門サイトです。
こちらは2022年のOECDの統計とされていて、日本が1,607時間/年に対して、ドイツが1,341時間/年となっています。
この資料では日本が19.8%長いです。
このように、労働時間だけを比較すると、ドイツ人より日本人のほうが長時間労働だということが明らかです。
次に、賃金や物価を比較するとどうか。
賃金(名目賃金)に物価(消費者物価指数)を加味したものを実質賃金といいます。
ネット上をちょろっと調べてみましたが、有意なデータが見つかりませんでした。
引用は省略しますが、厚生労働省が出している資料によると、日本は実質賃金が過去25年(1995~2020年)、ほぼ横ばいなのに対して、ドイツでは1%弱上昇しているようです。
日本の実質賃金が横ばいなのは世界的に見ても特殊で、他の国では緩やかに賃金が上昇しています。
問題なのは賃金が上昇しているかどうかだけではなく、自由に使えるお金(可処分所得)が増えているかどうかです。
次に、可処分所得を比較するとどうか。
この資料によると、2022年時点で、日本の可処分所得が3.32万ドルに対して、ドイツは4.42万ドルですね。
この資料ではドイツが日本の1.3倍(!)多いです。
最後に、国民負担率を比較するとどうか。
繰り返しになりますが、国民負担率とは、税金と社会保障費の負担の割合です。
【引用元:GemMed】
この資料によると、2020年時点で、日本の国民負担率が47.9%に対して、ドイツは54.0%ですね。
国民負担率はドイツが高いです。
しかし不思議ですが、さっき見たように可処分所得はドイツのほうがかなり多かったですよね。
国民負担率が高ければ可処分所得は減ると思うのですが・・。
ザックリ見てきました。
熊谷さんのツイートにあるように、「ドイツの平均年間賃金は日本よりも42%多い」というのは、裏付けが取れませんでした。
しかし、結論としては、日本のほうが労働時間が長く、可処分所得は少ないので、「日本経済がドイツと比較して低賃金と長時間労働によって支えられている」というのは間違いないと言えます。
本日の記事は以上です。