こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
「最近なにかにつけてすぐハラスメントだと言われるようになって、何かとやりにくくなった」
こういうことを言う人がよく見受けられます。
表立って言わなくても、腹のなかでは「何がハラスメントだ、面倒くさい」と思っている人が相当数いるはずです。
しかし、ただの嫌がらせ行為の域を超えた、犯罪レベルの事例が今でも後を絶ちません。
普通に考えたら犯罪レベルなのに、それが「会社内」や「学校内」だと事件にならないという不思議なことがたくさん起こっています。
元第一勧銀の銀行員で作家の江上剛さんの著書『会社という病』を読みました。
会社や人間組織の理不尽さをこれでもかとあぶり出しておられます。
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この本のなかで、江上さんは旧第一勧銀で実際にあったパワハラ傷害事件のことを書いておられます。
行き過ぎたパワーハラスメントがどんなにひどいものか、ゾッとするエピソードです。
ちょっと長くなりますが引用させていただきます。
旧一勧のパワハラ傷害事件
バブル華やかなりし時代、ある支店に、それはそれはひどい副支店長がいた。
就業時間前、実績を上げずに帰ってくる部下を支店の行員通用口で待ち伏せし、「稼ぐまで帰ってくるな」と夜の町へ何度も押し返すような人間だった。
だが、これは序の口だった。
彼は支店内に必ず一人、スケープゴートにする人物を見つけておく。部下への締め付けを強化するため、見せしめとして吊るし上げる対象を作っておくのである。
ある日、部下を集め、スケープゴートにされた部下に命じた。
「その机の上に座れ」
部下が机を見ると、そこには算盤(そろばん)があった。彼は躊躇した。
「その上に座るんだ!」
彼は仕方なく算盤の上に座った。江戸時代の拷問刑である「石抱(いしだき)」を真似たものだ。江戸時代、罪人は三角形の木を並べた台の上で正座させられた。膝の上には重い石が乗せられるため、鋭い木が脛に鋭く突き刺さる。強烈な拷問だった。三角の木を並べた台の形が算盤に似ていたことから、この拷問は「算盤責」とも言われていた。副支店長は、これを真似ていたのだ。なんというサド男。
脛に算盤の珠が当たり、標的にされた部下は次第に痛みで唸り始めた。
だが副支店長はこれだけでは飽き足りなかったらしい。片手に別の算盤を握り、それを振り上げると、キエーッと一声叫んで、スケープゴート君の頭を殴ったのである。振り下ろされた算盤は砕け散り、彼の頭からは血が吹き出した。
「拾え!」
気を失いそうになりつつ、必死に傷口を押さえる部下に対し、副支店長はさらに命じた。
ブラック企業の話ではない。旧第一勧銀であった本当の話だ。これはもうパワハラを超えて完全な傷害事件である。もちろん、この副支店長は後日更迭されたが、殴られた部下のほうは、怪我が治った後も心の傷はなかなか癒えなかった。
あまりの凄惨さに絶句するような話です。
狂っているとしか言いようがない。
こんなことを「昔は日常茶飯事だった」などと片付けてはいけないレベルですね。
江上さんが名付けたこの「サド男」、今ごろ何をしているんでしょうね。
会社内では、自らのサディズム性癖を披露してもよい。
昔も今も、こういうふうに思っている奴が少なからず存在すると思うと、怖いですね。
日本国憲法第36条では、拷問や残虐な刑罰を禁止しています。
国際法上も、「拷問等禁止条約」というものが定められています。
この事例の何が酷いかというと、算盤責された部下が罪人でも何でもなく、この副支店長が刑罰の執行人でも何でもないことです。
百歩譲って、業務成績が著しく不良だった者に対する「懲罰」だったとしても、こんなことをして業績が上がるはずがないどころか、こんな懲罰が許されるはずがありません。
江上さんは続けてこう書いておられます。
「なにかにつけて『ハラスメント』と言われるようになったために、部下の指導がやりにくくなった」などと嘆く上司がいる。おかしなことを言うなと言いたい。パワハラ、セクハラが定義づけされたからこそ、部下の嫌がる行為を上司が控えるようになったのだ。部下がのびのびと仕事をすることができるようになったプラス面のほうがはるかに大きいはずだ。
病気はいったん病名がはっきりすれば、対処のための薬や治療方法が確立していく。まずは病気に名前をつけ、定義づけることから始まる。
ハラスメントは病気の一種だ。だが病気であることに気づかない加害者が多い。医者が必要だ。それでも会社の中には、まだまだいい医者が少ないから、今日でも会社の至るところでハラスメントが起こっている。
まさに江上さんのおっしゃる通りです。
この副支店長の男は、いま自分が病気であることを自覚し、その持病に苛まれているでしょうか?
僕は旧第一勧銀とは何の関係もない第三者ですが、あまりにひどい話だったので、「懲罰的に」掲載してみました。
本日の記事は以上です。