こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
今回の読書レビューは、中野雅至さんの『ニートだった私がキャリア官僚から大学教授になった人生戦略』です。
僕は中野さんの著書をすでに何冊か読みました。
なぜかというと、中野さんは元官僚という「一般事務職のプロ」から、「大学教授」への転職に成功された人。
「オッサン逆転プロジェクト」を始動したときに、「一般事務職から大学教員になれないかな?」と思いついて調べたら、中野さんがヒットしました。
かつては鷲田小彌太さんが「大学教授になる方法」というのを書かれていて、それがヒットしたようです。
最近ではこの中野さんが、官僚から大学教授への転職というテーマで自身の経験に基づいて何冊か出しておられます。
大学教授に転職した経緯をいろんな著書でぶっちゃけておられるので、非常に参考になります。
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中野雅至さんが大学教授への転身について書いた本は主に次の3冊です。
『1勝100敗! あるキャリア官僚の転職記 大学教授公募の裏側』(2011年光文社新書)。
『ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法』(2013年ディスカヴァー携書)。
そして、今回概略を書こうと思っている『ニートだった私がキャリア官僚から大学教授になった人生戦略』(2014年SB新書)です。
僕は3冊全部読みました。
面白いのは、中野さんが兵庫県立大学の准教授から教授になられたのが2010年ごろで、ほぼ同時期にさっそく『1勝100敗!』を出版されています。
中野さんはおそらく教授になる前から、この転職テーマについての出版構想を仕込んでいたんですね。
チャンスが来たら逃さないように、普段からいろいろネタを仕込んでおくことが大事だということを教えてくれます。
『1勝100敗!』では、中野さんが大学教員の公募を知り、それに応募した経緯を、時系列で細かく書かれています。
大和郡山市役所から旧労働省に入り、ミシガン大学大学院の修士号を取得、新潟県庁に出向、さらに新潟大学大学院で博士号を取得して労働省に戻るという目まぐるしい本業のかたわら、論文を執筆し売り込みまくる。
猛勉強が祟り、メンタルはもうギリギリ、サウナで倒れて救急車で運ばれるという、壮絶な経験をしておられます。
大学教員採用のキモとなるのは、学術論文です。
『ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法』では、大学教員公募の実態、教員採用の裏側に触れ、そして、この本の中心テーマである学術論文の書き方について、大部分のページを割いて詳しく書いておられます。
いずれも必読ですが、まず入門書としてオススメなのが、『ニートだった私がキャリア官僚から大学教授になった人生戦略』になります。
中野さんはこの本の序盤で、「現状に甘んじることは自殺行為である」として、これからの人生をサバイバルしていくためには、学歴や職歴を戦略的に上書きしていくことが必要だと述べています。
中野さんはこれを「学歴ロンダリング」「職歴ロンダリング」と言っています。
または、「学歴や職歴を、戦略的にロンダリングする」とも言います。
「定年まで働けると思うな」というと、人件費が高くて働かないおっさんのことだと思いがちですが、中野さんはそうではないというんですね。
中高年をリストラしたからといって、その分若手が優遇されるかというとそうではない。
将来の人件費と育成費がかかるのは若手も一緒であって、いつか若手も切られるのですよ。
そういう視点から本書では、第2章で「職場でのサバイバル法」について、第3章では「職歴の戦略的ロンダリング」について、第4章では「学歴の戦略的ロンダリング」について書かれています。
最終章となる第5章では、資格をロンダリングの武器にすることについて述べています。
学歴ロンダリングの一例として、中野さんは社会人大学院をオススメされています。
社会人になってからの学歴ロンダリングは、大学受験ほど難しくない。
実は基礎的な学力を押さえておけば十分なケースが多々ある。
大学院という存在や大学院名にひるむことなく、チャレンジする気持ちさえあれば、じつは入学のハードルは低いというケースが多いのです。
読んでいて思ったのですが、ボストンコンサルティングやデロイトトーマツやマッキンゼーに行って、「無給でいいので、掃除からでいいのでやらせてください」と言って雇ってもらって、3か月でも半年でも在籍したら、大手コンサル出身を名乗れるのではないか?(笑)。
これこそ、「職歴ロンダリング」。
中野さんは次のように書いています。
正直なところ、「この部長にどう評価されようが、オレの出世には関係ない」と割り切っていました。きちんと仕事をこなしつつも、自分の学歴ロンダリングを優先させ、夜間、大学院へ通っていたのです。
当初は、「大学院になんか通う暇があったら、もっと仕事しろよ」などと、出向先の上司や同僚たちに思われたらどうしようかと懸念していました。しかし、そんな思いはすぐに消えました。現状打破して将来を乗り切ることに比べれば、そんな情緒的な反感など軽いものだからです。
左遷の憂き目にあったとしても、それは捉え方によってはチャンスになります。新たなステップアップの機会を得られたともいえるのです。
現状打破して将来を乗り切ることに比べれば、上司や同僚たちの情緒的な反感など軽いもの。
中野さんは40歳までにロンダリングすることを目安にしていますが、僕はいくつになっても、現状を打破するんだという気持ちが大事だと思います。
中野さんがこの本を出版されてから、もう10年が経っています。
正しい努力を続ければ、昔よりももっと多様な選択肢が用意されているはずです。
本日の記事は以上です。
☟『ニートだった私がキャリア官僚から大学教授になった人生戦略』中野雅至 著(SB新書)