こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
今回の読書レビューは、健康社会学者の河合薫さんの『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論』です。
この本はもう1年以上前に読んでいたのですが、なかなかレビューする機会がありませんでした。
河合さんは、かつて全日空CA、「ニュースステーション」のお天気キャスターへ、さらに博士号を取得して健康社会学者に転身。
教育家の藤原和博さんが、キャリアを次々に掛け算する「連山主義」を提唱しています。
河合さんは一つのキャリアで活躍しつつ、そのあいだに次のキャリアを仕込むというサバイバル戦略を実践されています。
1994年に気象予報士の資格を取得。
メディアで活躍しながら、その10年後の2004年には東京大学大学院の修士課程を修了。
それからは約20年間、健康社会学をベースにした研究を続けてこられました。
凄い経歴のバリキャリなんですが、自らがアラフィフになり困難に直面。
もがき苦しんだ経験を本書にもぶちまけてらっしゃいます。
若いころから華々しい活躍をされてこられた女性だけに、男性以上にアラフィフの困難さを痛感されているんだと思います。
困難に直面する中年男性、中年女性に並々ならぬシンパシーを寄せながら研究なさっており、面白い注目の学者さんです。
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「45歳定年制なんて聞いてない」
「役職定年、こんなはずじゃなかった」
「定年延長やめときゃよかった」
五十にして天命を知るどころか、迷い、戸惑い、怖れている・・・。
サラリーマンは必ず終わる。
肩書は無意味になる。
だからこそ、どう生きるか。
本書の帯にはこのように書いてあります。
まさにアラフィフ、中年の危機を迎えた僕自身に刺さるタイムリーな内容。
僕と同年代の団塊ジュニア世代、就職氷河期世代、ロスジェネ世代の大きな塊が、いま危機的状況のなかを生きています。
ネットニュースにはこの世代に対する絶望的な記事ばかりが溢れています。
日経ビジネス、東洋経済オンライン、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインなどの大手メディアで、試しに「団塊ジュニア」などで検索してみてください。
これがいかに社会的な問題か、課題として認知されているのに、これだという突破口は発見されていません。
「私」たちは、「10年後の私」を過信していたのかもしれない。
今と同じ日常が10年後も続いていると信じ、それまで積み上げてきた努力が10年後の社会的地位を保障すると楽観した。40歳を過ぎて人生を再構築する分岐点に立った時には、死んだ目をした上の世代の人たちにゲンナリし、「ああはなりたくない」と思っていたのに。
50歳という「一丁上がり感」ある年齢を超え、不覚にも時間と成長が止まった「あちら側の世界」に足を踏み入れていた。私は常々コラムや講演会で、「不安の反対は安心ではなく前に踏み出すこと」と豪語し、「進化しないことは退化すること」といましめていたのに、ああなんということだ。
世間の人たちには「50を過ぎたおばさんが可能性とか、図々しくねぇ?」と笑われてしまうかもしれない。けれど、私は自分の可能性を信じて生きてきた。
「そうだ!今まで通り、そして、きちんと歩き続けよう。一時期のようなスピードは出せないかもしれないし、カネになるかどうかもわからない。それでも、厳しい時ほど具体的に動くが勝ちと信じて、自分らしく」そう覚悟したのである。
河合さんの著作は、「働かないおじさん」「昭和おじさん」「一丁上がり感」「シニア社員=高コスト」「捨てられる50代」と、自虐とディスりに満ちていますが、直球過ぎて逆に爽快ですらあります。
「中年」への強烈な危機感と「絶対やり返してやる」という気迫。
そして、逆境の世代に対する深い共感と熱いエールが溢れています。
河合さんは健康社会学者として、その第一人者であるユダヤ系アメリカ人、アーロン・アントノフスキーの「健康生成論」とその中核概念である「SOC(Sense of Coherence=首尾一貫感覚)」を論拠としながら、「我々は幸せになるために生まれてきたのだ」と断言します。
ほとんど絶望的ともいえる中年の危機を突破する戦略はあるのか?
河合さんとともに、その糸口を探ることにしましょう。
本日の記事は以上です。
☟『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論』河合薫 著(プレジデント社)