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【戦史研究10】岡敬純と石川信吾 海軍の対米強硬論者

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。

 

半藤一利さんの名著『指揮官と参謀 コンビの研究』をもとに、太平洋戦争を総括する第5回目。

 

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以前書いたように、日中・太平洋戦争の起点を満州事変に設定しました。

【戦史研究2】【戦史研究3】の記事で、事件・軍事紛争を時系列で並べていきました。

 

そうしたとき、満州事変~第1次上海事変~盧溝橋事件~第2次上海事変~南京占領~ノモンハン事件と続く流れは、日中の軍事紛争、その先にあるソ連との対決、という図式であったことが見えてきます。

 

この流れで見たとき、海軍はまったく舞台に登場してきませんでした。

では、海軍は何時の段階で急進強硬論、対米開戦論に傾斜していったのでしょうか。

 

日本軍の対中、対ソ戦略中心の流れが変わったのは、ドイツのポーランド侵攻、第2次世界大戦が勃発したあたりからだと思います。

ここから世界的な軍事衝突が予感されます。

日本は中国大陸での軍事的安定を確保するため、援蒋ルート英米による蒋介石への軍事援助)の遮断を画策します。

 

また、さらなる軍事的増強、持久戦を想定し、南方の資源を獲りに行きます。

それが、1940年9月の北部仏印進駐と1941年7月の南部仏印進駐でした。

特に1941年7月の南部仏印進駐では、米国は翌8月に対日石油禁輸措置を発動しました。

この南部仏印進駐は、日米関係の悪化が決定的になったことから、太平洋戦争への「ポイント・オブ・ノー・リターン」であると評価されています。

 

さて、海軍に話を戻します。

半藤さんの『指揮官と参謀 コンビの研究』によれば、戦後の取り調べで元内大臣木戸幸一が、海軍の主戦論者として、末次信正海軍大将、中村良三海軍大将、軍務局長岡敬純少将、石川信吾大佐の名を挙げたそうです。

 

海軍は、1930年(昭和5年)のロンドン軍縮会議以来、条約派艦隊派に大分裂していました。

艦隊派には末次大将のほか、加藤寛治大将、高橋三吉大将、大角岑生大将らがおり、彼ら対米強硬路線の流れを受け継いだのが、岡と石川でした。

 

ロンドン会議以降、石川が少佐時代に「ロンドン会議は、米国に関する限り・・・侵略戦を予期したものであり、軍縮ではなく軍拡であり、世界平和でなくて、日本を屈服しての米国の平和であるのだ」と論文に書いています。

 

また、「九死に一生の戦争に訴え局面打開を策するか、戦わずして屈するかの二途何れかを選ばざるべからざるに至るは、蓋し必至の勢なり」と海外視察報告に書いています。

 

このように、石川ら海軍艦隊派は米英が仮想敵国だったのであり、陸軍と結託して対米英強硬・南進論を唱えたといえるのです。

 

一方、軍務局第一課長だった岡敬純大佐は、日独伊三国同盟の議論で紛糾したとき、海軍中央にいて同盟反対の立場だった山本五十六、米内光政、井上成美に対して、同盟推進を強硬に主張しました。

 

岡が軍務局長に就任してからは、軍務第二課長に石川を抜擢しました。

石川だけでなく、高田利種軍務第一課長、富岡定俊軍令部第一課長、中原義正人事局長など、海軍中央を対米強硬、南進論者で固めるのに影響力を発揮しました。

 

「対米戦は必至」と主張する石川が海軍を主導し、その目論見通りに日本は南部仏印進駐を実行しました。

そして、石川は「この戦争は俺がはじめさせたようなもんだよ」と酒席で豪語していたそうです。

 

ここまで書いてきて思うのは、日本が連合国に悲惨な大敗北を喫したという結果論からすれば、前回書いた陸軍の辻や服部らと並んで、海軍を主導した石川や岡の責任は重いものと言えるでしょう。

 

しかし以前書いたように、歴史的結果から軍人を評価しない。

性悪説で軍人を見ないという立場から、慎重に考えた場合どうか。

 

石川が海外視察報告書で「九死に一生の戦争に訴え局面打開を策するか、戦わずして屈するかの二途何れかを選ばざるべからざるに至るは、蓋し必至の勢なり」と書きました。

 

局面打開の策が「九死に一生の戦争に訴え」るしかなかったのか?

戦わない場合は「屈服する」しか途がなかったのか?

そもそも石川のこの主張は、誤った強硬論なのか?

なぜ真珠湾を爆撃するような飛躍した作戦に出たのか?

ミッドウェー作戦やガダルカナル島の戦いで大敗北しなかったら?

 

単純に石川や岡を断罪するのでは足りず、このあたりを研究しなければならないと思います。 

 

本日の記事は以上です。

 

 

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