こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
川崎重工業が2021年度から年功制を全廃するというニュースです。
こういう話は近年、企業に広がってきて珍しくないと思いますが、やっぱり時代の流れとはいえキツイ話だと思いますね。
このニュースは技能の積み上げとともに賃金も上昇する技術職にも適用されるという点で注目されます。
「社員のやる気を引き出し、新たな分野での競争力につなげるねらい」というと聞こえはいいですが、人件費を削って経営をスリムかつ強靭化するということでしょうね。
新たな産業、新たなビジネスチャンスというのは確かに至る所に生まれているのかもしれません。
しかし、多数の従業員を抱える大きな企業体が、新たな産業を生み出し、新たな需要を生み出すというのは、このコロナ下で基本難しい話であって、やっぱり人件費の削減が目的でしょうね。
どんな組織であってもホントに優秀な人材というのは2割程度で、そのエリートとそれ以外の賃金格差を助長するだけなんじゃないでしょうか?
落合陽一さんは『日本再興戦略』のなかで、結局、高度経済成長の正体とは「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の3点セットだと言っています。
戦後の50年以上、この仕組みと価値観で成長してきたと思いますが、平成の30年間でこの仕組みと価値観が大きく揺らいだというのが鮮明になってきましたね。
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いま住宅ローンを組む人ってどのくらいいるんでしょうか?
だいぶ減ってきているでしょうね。
前の記事でうちの家計収支のことを書きましたが、再度書くと収入約22万円に対して、支出約37万円です。
僕は一度仕事で疲弊して休職して、それからもう残業して必死に頑張るのを止めたので残業手当が月3~5万減りました。
一方、支出は子ども3人の養育費等でじわじわ増加傾向です。
つまり赤字が拡大してますね。
このうち住宅ローンが毎月2万5千円、自動車ローンが毎月1万円です。
いまどきダブルローン組むのは暴挙でしょうね。自動車は来年終わりますが。
落合さんの『日本再興戦略』では、今までの日本の何がすごかったのか、何がすごくなかったのかを確認することが必要だと言ってます。
たとえば「マイホームという制度」とそのローンは成長戦略のひとつでした。
なぜ、そして、どこがすごいかというと、最初に頭金を払った後に、数十年間もお金を払い続けるという形で、家計から自動的に所得が差し引かれる仕組みをつくり出したからです。
それは、金融の「仕組み」として「すごい」ものです。
つまり年功序列賃金と住宅ローンがセットになって、落合さんの言うように、「住宅ローン」でサラリーマンに夢を持たせつつ搾取するという仕組みを作った。
しかし、この仕組みは過去のものとなって崩壊しつつある。
三菱重工業のニュースは、実力主義を前面に押し出して賃金を抑え込む、賃金を抑え込まれた労働者は住宅ローンを組むのも困難になることを表しています。
年功賃金に支えられた「住宅ローン」でサラリーマンに夢を持たせつつ搾取するという仕組みを企業は積極的に解体しようとしています。
雇用労働者は、マイホームかクルマか子の教育かのどれかを諦めなければならないという瀬戸際に立たされていますね。
イギリスの経済学者のケインズが「2030年に1日3時間、週15時間労働すれば十分に生活できる社会が実現する」と予測していますが、成果主義や競争主義を導入して賃金を抑制したり解雇したりという流れはこのケインズの予測に逆行するものですね。
産業界は企業の繁栄と労働者の幸福をウィン-ウィンにする新しい仕組みを作れるんでしょうか?
川崎重工業などの年功制廃止の動きを見ても、企業の目先の存続だけ考えて新しい仕組みを生み出す気配はなさそうですね。
本日の記事は以上です。
☟『日本再興戦略』落合陽一(幻冬舎)