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経団連中西会長の「いつの間にか日本の賃金水準が相当下位になっていた」発言に啞然とした

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。

 

このごろ菅総理が相当バッシングされていますね。その陰で次のニュースが気になりました。

 

1月27日、経団連の中西会長と連合の神津会長という労使トップが会談。

 

www.nikkei.com

 

経団連日本経済団体連合会)は経営者(使用者)の団体で、連合(日本労働組合総連合会)は労働者の団体。

経団連・中西会長「日本の賃金水準が、いつの間にかOECD経済協力開発機構)の中でも相当下位になっている。春季交渉で、その問題がすべて片づくとは思わないが、非常に大事な課題だ」

経団連と連合のトップ同士の会談で、経団連の会長が上の発言をしたんですね。

 

経団連の中西会長は日立製作所の取締役会長兼執行役のほか各団体の役員を務める、日本を代表する経営者です。

経団連のトップが連合のトップを前にして、こういう問題意識を明らかにしたという点は評価されてよいかもしれません。

 

しかし、「いつの間にか」というところに開いた口がふさがらない。

「いつの間にか日本の賃金水準が相当下位になっていた」

何かマヌケっぽい。

 

「いつの間にか」なんて認識でいいのか?

経団連のトップが、世界と日本の労働者の賃金水準の比較を知らなかったのか。

言葉尻を捉えて恐縮ですが、「いつの間にか」というのが引っかかってしょうがないんですね。 

 

森永卓郎さんが下の記事で書いているとおり、「そうなったのは誰のせいだ!」ということですよ。

経団連トップとして、他人事のような無責任発言だと思いますね。

 

smart-flash.jp

 

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加谷珪一さんは『貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか』で次のように書いています。

 

1990年以降、米国は賃金が2.4倍になっていますが、消費者物価は1.9倍にとどまっています。スウェーデンは賃金が2.7倍になりましたが、物価は1.7倍にとどまっています。(フランス、ドイツ、オーストラリアでも同様に実質賃金が増加しています)

一方、日本の賃金は横ばいですが、物価は1.1倍とむしろ上昇しています。

日本以外の国は、いずれも賃金の伸びよりも物価上昇率の方が低いことが分かります。

各国は物価も上がっているのですが、それ以上に賃金が上がっているので、労働者の可処分所得は増えています。一方、日本は同じ期間で、物価が少し上がったものの、賃金は横ばいなので逆に生活が苦しくなりました。

日本の国力が大幅に低下し、国際的な競争力を失っており、その結果が賃金にも反映されているのです

(中略)日本における貧困の最大の問題点は、仕事があっても貧困に陥る人(いわゆるワーキングプア)が極めて多いという点です。

 

また、落合陽一さんの『日本進化論』では、ヤフー株式会社CSO安宅和人さんが寄稿しています。

 

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日本の一般会計予算と社会保険、その運用益を合わせると170兆円になり、アメリカ、中国に次ぐ規模だが、未来への投資に充てている費用が限りなく少ない。

労働生産性の国際比較で、日本は先進国の中で一人負けの状態。

 

機械・電機・情報通信機器、輸送用機械、建設、専門・科学技術・業務支援サービス、金融・保険、運輸・郵便、小売り、農林水産、と本当にあらゆる産業分野で軒並み生産性が低い。

安宅さんはこのように指摘したうえで、次のように書いています。

 

全体として、著しく生産性が低い国家となってしまっている、巨大な伸びしろを抱えた状態なのです。

では、生産性アップに向けてしっかりリソースが割けているのかというと、残念ながらそうではありません。日本は、最低賃金がG7中最下位で、フルタイムワーカーと最低賃金の方との賃金格差も大きく、「弱者を酷使」することで回している経済といえます

国力に見合ったR&D投資(Research&Development。企業等の研究開発活動)もできておらず、中国との国力(GDP)差は約2.5倍、アメリカとは約4倍ですが、 R&D費では中国とは約4倍、アメリカとは約5倍の差がついています。

 

「弱者を酷使して経済を回している」と聞いて腹立たしく思うのは私だけではないはず。 

 

キレイごとかもしれませんが、経営者というのは社員、労働者の生活を守ることが役目で、労働者つまり社会の構成員の賃金が増えて可処分所得が増えれば、国内消費が増えて最終的には国が豊かになり、ひいては会社の繁栄につながる。

そういう循環の視点を持っているのが当然ではないですかね。

 

OECDのなかで日本の賃金水準が相当下位になっているのをもし知らなかったとすれば、余りにもお粗末です。

そういう経営者連中が「いつの間にか弱者を酷使して経済を回している」のが今の日本ではないですかね。

 

本日の記事は以上です。

 

 ☟『貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか』加谷珪一 著(幻冬舎新書

 ☟『日本進化論』落合陽一 著(SB新書)