こんにちは、50代オッサンtrrymtorrsonです。
先日たまたまテレビを見ていたら、「新しい資本主義実現会議」において、実行計画の2025年改訂版が取りまとめられるというニュースが。
まだやってたんですね。失礼しました。
岸田元総理が令和3年に「新しい資本主義」というスローガンを掲げて、対策会議を設置するということだったんですが、その後首相の座を下りたので、無くなったと思っていました。
内閣官房のホームページを見ると、この記事を書いている時点でもうかれこれ36回も会議が重ねられています。
新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|内閣官房ホームページ
僕は2022年の時点でこの「新しい資本主義」の政策パッケージに注目していくつか関連の記事を書きました。
総理大臣が岸田さんから石破さんに変わろうが誰になろうが、政府の重要課題は経済対策です。
岸田さんのときから「成長と分配の好循環」を生み出して継続的な「賃上げ」を目指すと言っていました。
しかし当初は、「新しい資本主義実現会議」で経団連に3%の賃上げを要請しただけだったんですよ。
政府の最重要課題の一番最初の目玉の仕事が、「経団連にお願い」って。
相当ガッカリして、岸田さんもう駄目だなとそのとき思いました。
ほかの政策の目玉は、「新NISA」による大幅な減税。
あのですね、経済活動に投資するのと、金融商品に投資するのはずいぶん違いますよ。
実際、米国企業の投資信託に資金の大部分が流れているではないですか。
それでもう「新しい資本主義」のことは忘れていました。
そしたら、冒頭のニュースで実行計画改訂案ができたというので、内閣官房の資料を見てみました。
全部で100ページほどの膨大な資料でしたので、全部に目を通すのは諦めました(苦笑)。
けっこう広範囲の分野で細かい政策提言が挙げられています。
【内閣官房公式Xより引用】
とてもじゃないけど全部読めないので、冒頭だけ読んだんですよ。
第1章は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」となっています。
やはり、「賃上げ」と「投資」が最重要キーワードですよ。
冒頭から「賃上げこそが成長戦略の要である」と繰り返し書かれていて、政府の危機感が感じられます。
僕が注目したのは、冒頭の以下の部分になりますので、ちょっと長いですが引用します。
日本経済を、賃上げと投資の好循環による成長軌道に確実に乗せていくためには、足元での円安等を背景としたコストプッシュインフレ・物価高への対応を進めるとともに、物価が上昇基調になったことを踏まえ、予算・税制における長年据え置かれたままの様々な公的制度について、国民生活へ深刻な影響が及ばないよう、見直しを進める必要がある。
すなわち、国が民間に賃上げと価格転嫁を呼びかけるだけでなく、今こそ、国が賃上げと価格転嫁の先導役になり、日本経済を絶対にデフレ時代に後戻りさせることのないように、官の取組を進めなければならない。
この観点から、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の中において、①働き手の賃上げ原資を確保するための官公需における価格転嫁の徹底、②公定価格(医療・介護・保育・福祉等)の引上げに取り組むとともに、政府自身が物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けて率先垂範すべく、③全省庁における予算・税制・公的制度の閾値(基準値)の総点検と見直しを進めることにより、官側の制度がデフレ時代から長年にわたり変更されずに固定化されていないか、それが成長型経済の実現を阻害することになっていないか、あらゆる角度から総点検し、 デフレ時代に固定化されたあらゆる官側の制度の抜本見直しによる我が国のインフレへの対応力の強化を進める。また、官民で消費者のデフレマインドを払拭していく。
政府というか官僚の方々は、現下が「コストプッシュインフレ型の物価高」であるときちんと認識しておられます。
著名人のなかでもとんでもない議論をしている人たちがいるので。
いくつか注目すべきキーワードがあります。
「官側の制度がデフレ時代から長年にわたり変更されずに固定化されていないか」。
いろいろな制度だけでなく、仕事自体がデフレマインドに固定化されていないか?
これを総点検し見直していくというのは、非常に重要です。
次です。
「国が民間に賃上げと価格転嫁を呼びかけるだけでなく」
3年前に岸田さんが経団連に賃上げをお願いしたわけですが、当然それだけではダメですよという話です。
「今こそ、国が賃上げと価格転嫁の先導役になり」というのは具体的にどういうことか?
これが、「働き手の賃上げ原資を確保するための官公需における価格転嫁の徹底」ということです。
ここで「官公需」という聞きなれないワードが出てきました。
国や独立行政法人、地方公共団体等が、物品を購入したり、サービスの提供を受けたり、工事を発注したりすることを『官公需』といいます。(中小企業庁)
要するに、国や地方自治体が物品を購入したり、工事を発注するときには、役所が率先して、物価や賃金の上昇分を上乗せして発注しますよと言っているわけですよ。
これは非常に重要です。
ですから、国や地方自治体から直接、物品や工事を受注している企業は、必ず物価や賃金の上昇分を入札価格や見積書に適正に上乗せして提示するべきです。
政府が物価高や賃上げの総合経済対策のために準備した予算です。
この資金が受注企業を通じて二次受け、三次受けまで波及していかなければ、政府の言う物価高対策やデフレ脱却が実現しません。
国や自治体の発注担当者にこの認識がなく、商品を買い叩こうとする場合は、入札や受注を辞退するべきでしょう。
なお、このあとに、「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」に関する論点が出てきます。
これについては、次回に書きたいと思います。
本日の記事は以上です。