こんにちは、50代オッサンtrrymtorrsonです。
先日、ニューズピックスのある動画を見ていたら、あまりにも内容がひどかったのでそれを書こうと思います。
「「消費税減税はほぼ自殺行為」物価高対策としての“減税”は論外」という内容。
ゲストは、デービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社 社長)、小松美香氏(SyntheticGestalt株式会社 CFO)、鈴木一人氏(東京大学公共政策大学院 教授/国際文化会館「地経学研究所」 所長)の三氏です。
最初に断っておきますと、この動画はダイジェスト版で、後半がカットされています。
そのカットされた部分に、重要な提言があるかもしれません。
しかしそれを差し引いても、この内容はヒドイ。
三氏のトークのポイントは次の2つです。
▶消費税減税はほぼ自殺行為。物価高対策としての減税は論外である。
▶社会保障負担を借金でごまかすのは止めて、稼ぐ力を上げていくしかない。
まず、「物価高対策としての減税は論外だ」という部分について見ていきましょう。
これを言っているのは、アトキンソン氏と鈴木氏です。
アトキンソン氏:まずですね、物価高になっていく時に減税をするっていうことはもう論外中の論外なんですよね。
ま要するに減税するってことはお金の流れが増えますからもっと物価上がりますよ。
皆さんはもう物価高で国民が苦しんでるからって言って減税をするべきですということ言ってますけども、じゃあ全世界ですね、その今現在で物価高の中で減税してる国はどこですかっていうのはどこも減税してないんですよ。
需要が強くなってるところで物価が上がってるわけなんで、そうするとその中で減税をすることによって購買力を強くしていけば何が起こるかと。もっと物価上がりますよ。
まず、僕は何回も書いているように、現在の物価高(インフレ)は、「コストプッシュインフレ」ですよということです。
コストプッシュインフレの要因は大きく分けると、次の4つです。
1.食料価格の上昇
生鮮食品や米などの国内食料価格が、物価上昇の主因となっています。
特に、2025年2月のコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)は前年同月比3.0%増加しており、食料価格が大きく寄与しています。
2.エネルギー価格の影響
エネルギー価格の上昇も一因ですが、政府の補助金政策によりその影響は一部緩和されています。緩和されているけれでも、やっぱり高いよ。
3.輸入物価の安定化
円安の是正により輸入物価が落ち着きつつあり、輸入品価格の影響は減少傾向にあります。減少傾向だけれども、やっぱり高いよ。
4.賃金上昇の影響
春闘での賃上げが物価上昇に寄与しているものの、これは主にサービス価格の上昇に反映されています。
「コストプッシュインフレ」が、主に供給側の要因、特に海外からの外圧的な要因であるのに対して、「ディマンドプルインフレ」というのは、需要の増加が物価を押し上げる現象です。しかしどう考えてもいまの日本では内需が旺盛だと言えないですよね。
「需要が強くなってるところで物価が上がってるわけなんで」
「減税するってことはお金の流れが増えますからもっと物価上がりますよ」
というのはディマンドプルインフレの話なので、明らかに間違っています。
下のサイトでも、分かりやすい解説がされていますね。
このサイトに次のように書いてあります。
消費者物価指数で見て、とくに食料(124.1)や光熱・水道(114.2)が主な要因となり、総合指数を押し上げています。
総務省の家計調査報告でも、消費支出の主な増加項目(対前年同月増減)は、高熱・水道(14.4%)、交通・通信(7.1%)となっています。
日本銀行の「企業物価指数」(2025年3月速報)によると、2020年の輸入物価指数の平均を100%とした場合、2025年3月は円ベースで160.7%となりました。
多くを輸入に頼る原材料費が160.7%になっているんですから、べらぼうに上がってますよ。
つまり、生活必需品(固定費)の価格が大幅に上がっており、一方収入は増えていないため、「需要が強くなっている」どころか、「家計が苦しい」んですよ。
とんでもない間違いですね。
「海外で減税している国は無い」と言っていますが、コロナ禍で経済が悪化したときは他国も減税してましたよ。
そもそも、歴史も社会構造も経済の成り立ちも違うのに、外国と比べて何の意味があるんでしょうか。
アトキンソン氏は次のように続けます。
一般会計で見ると国の予算ですね、国会で議論されこれ横ばいなんですよ。ただそれと別に社会保障があって1990年の時に47.4兆円だったんです。今137.8兆まで行っていてGDPに対して10%だったものが25%まで上がってるんですよ。1990年から今までは社会保障の負担っていうのは90兆円増えてんですよ。
一般会計の予算は横ばいだが、社会保障費が急増している。
これはその通りだ。
彼は社会保障費が足りないのだから増税で賄わないといけないと言っている。
だから、消費税減税は「頭が狂っている」「自殺行為だ」と言っている。
しかし、そもそもインフレの理解が間違っているから、家計が苦しいのに増税せよとデタラメを言ってるんです。
東京大学大学院教授の鈴木一人氏は次のように続けます。
借金がどんどん積み上がってくるってことは借金の返済にかかる国債償還費っていうこの借金の返済にかかる部分も増えてます。今利上げをするっていう話になるとこの借金の分がボっと増えます。そうするとさらに日本の財政は悪化していくので。
このとにかく消費税を下げるとか、要するに入ってくるもの下げてしまうとこれからもう確実に増えていくものっていうのが明らかなのに、入る方、要するに歳入の方を減らしていくっていうことはもうほぼ自殺行為に近いと私は思っていて、そんなことやってたらいつか国の信用を失うっていうことになるだろう。
いわゆる国の借金が1,300兆円になっている。

【引用:nippon.com】
1975年からずっとこのように国債発行残高が増え続けています。
「いつか国の信用を失うっていうことになるだろう」というなら、もうとっくに信用を失っているはずですが。
日本の財政や通貨が、信用を失っているという話は聞きませんね。
信用を失うとしたら、「借金の増加」なのではなくて、まったく想定外のほかの要因で失う可能性はあります。
この二氏にまったく欠けている視点は、そもそも年金や医療や介護といった社会保障費は、もともとは消費税で賄うものではなく、社会保険料で賄うものだということです。
この社会保険料負担が、そもそも大きく家計を圧迫している。

【引用:国立社会保障・人口問題研究所】
単純に言うと、社会保障費とはこの人口ピラミッドの赤の部分の人たちを黄色の部分の人たちで支えるという話です。
この、赤のピークがいま大きいので、現役世代に重すぎる負担がかかっているわけなんですよ。
バランスがもう大きく崩れてしまっているので、さらなる負担で何とかなる話じゃないんですよ。
今後10年くらいでピークが移動していけば、状況は変わるでしょう。
ピークが無くなれば、社会保障費の問題は緩和されるんですよ。
それまでは国債発行で乗り切ろうという話なのですよ。
それなのに、現役世代にさらなる過重な税負担をかけ続ければ、現役世代が潰れるに決まっているではないですか。
動画では、この基本的な前提が間違っているから、次にトンチンカンな結論が導かれているんですね。
「社会保障負担を借金でごまかすのは止めて、稼ぐ力を上げていくしかない」
稼ぐ力を上げるしかないって、ほとんど精神論でしかありません。
「稼ぐ力を上げる」「付加価値を上げる」って。
ここで動画はカットされて終わっているわけですが。
国内には優秀な起業家や実業家がたくさんいます。
そうであれば、もうすでに稼ぐ力や付加価値の高い商品やサービスが存在しているはずです。
社会保障負担が上がっているから、稼ぐ力を上げて何とかするんだ、なんてとんでもない妄想ですよね。
「減税ポピュリズム」と言っていますが、あなたたちが「ポピュリスト」なんだよ。
当たり前ですが、現役世代は一番カネが要るんだよ。
その現役世代から過剰に搾取すれば、需要が拡大するわけないでしょう。
現役世代を食いモノにするようなまやかしの議論を許すわけにはいきません。
本日の記事は以上です。