こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
復職してちょうど半年が経ちました。
休職期間半年、そのあと復職して半年です。
休職期間に入って以降とにかく猛烈に読書してみようと思い、書店やブックオフで気になった本は片っ端から買って読んできました。
昨日の記事で、丹羽宇一郎氏の「同一労働同一賃金」に対する見解について書きました。
氏は伊藤忠商事の重職を歴任し、中華人民共和国特命全権大使、内閣府経済財政諮問会議議員、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長、早稲田大学特命教授なども務めた人物。
超一流の経営者であるはずの丹羽氏が、自著に「同一労働同一賃金」に対する誤った認識を書いておられました。
2016年9月に政府は「働き方改革実現会議」を立ち上げ議論をスタートさせました。
そこでは、9つの改革テーマが設定されました。それは次の通りです。
(1)同一労働同一賃金など非正規の待遇改善
(2)賃上げと労働生産性の向上
(3)長時間労働の是正
(4)転職・再就職支援。格差を固定させない教育
(5)テレワーク、兼業・副業など柔軟な働き方
(6)働き方に中立な社会保障制度、税制。女性・若者の活躍
(7)高齢者の就業促進
(8)病気の治療、子育て・介護と仕事の両立
(9)外国人受け入れの問題
1番目にある「同一労働同一賃金など非正規の待遇改善」です。
正規雇用と非正規雇用のあいだに賃金格差が生まれた背景や「ロスジェネ問題」については、下の記事でまとめています。
この正規と非正規の賃金格差を是正するために国が打ち出したのが「同一労働同一賃金」の方針です。
丹羽さんは著書『仕事と心の流儀』のなかで、努力する者も努力しない者も同一労働同一賃金にするのは問題だと述べておられます。
努力しない、成果を生まない労働者に対して、「同一労働同一賃金」の名のもとに賃金を引き上げることなどとんでもないことだと言いたかったのだと思います。
しかし正規と非正規の賃金格差の問題は、そういうものではありません。
世帯年収300万円では、家も車も買うことはできません。
「普通」の家庭が「普通」の豊かさを享受できる世の中にならなければなりません。
丹羽氏の経歴を先述しましたが、自身が長く使用者側の立場にいたことによる驕りだと言わざるを得ません。
さて、この正規と非正規の賃金格差の是正をはじめとする働き方改革について、元外務官僚の佐藤優さんは、著書『メンタルの強化書』のなかで次のように指摘しています。
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賃金引き上げは労働者にとっては一見歓迎すべきことに見えますが、じつは真の狙いは競争力が低く、労働生産性の低い中小企業の淘汰であると見ています。
賃金アップもそうですが、残業時間の制限、有給休暇の取得、正規雇用と非正規雇用の賃金格差の撤廃など、中小企業から見たらいずれもクリアするのが大変な項目が並んでいます。
(中略)仕事環境はこの先5年から10年ほどで激変すると思います。
生産性の低い中小企業は淘汰され、生き残った企業によって寡占化が進む。
それまでの賃金引上げの流れも寡占化が進めば、再び状況が変わってくると見ています。
正規雇用と非正規雇用の賃金差がなくなり、一般職的な仕事が多くなる。
ベースアップや昇給がなくなり、賃金が非正規雇用の方に引っ張られるという下方圧力がかかるでしょう。
あらゆる業種で賃金の頭打ち、あるいは引き下げが起きる。
するとどうなるか?足りない分を副業で稼ぐという時代が来るでしょう。
企業の側も副業を前提にして採用する。むしろそうして収入源を複線化してもらった方が、自分たちの負担が少なくてすみます。
つまり、実質的に正規社員の非正規化であり、労働力の流動性が高まることになります。
いまの状態がこのまま続けばおそらくそのような働き方になる時代が来ます。
本業だけでは多くの人が生活が厳しくなる。
副業が当たり前の時代がやってくるのです。
佐藤さんの指摘のように、正規と非正規の賃金格差の是正は中小企業にとって厳しいものとなり、実現は困難を伴うでしょう。
しかし繰り返しますが世帯年収300万円では家も車も買うことはできません。
「普通」の家庭が「普通」の豊かさを享受できる世の中にならなければなりません。
国や大企業のトップに立つ人が、丹羽氏の言葉に垣間見えるような、偏った使用者目線ではちょっと寂しい。
日本という国が再び経済成長を拡大し、皆が豊かな暮らしを享受できる世の中の実現を考えていただきたいと思います。
本日の記事は以上です。
☟『メンタルの強化書』佐藤優(クロスメディアパブリッシング)