こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
毎年6月に、政府の経済財政政策の骨子が発表されるのが恒例となっています。
これまで何回か、この政府の「骨太の方針」について書いたことがあります。
政府の経済政策の方針が、僕らの生活や仕事にじわじわと影響するんですよ。
というわけで、「骨太の方針2024」をざっと見てみましょう。
目次を見れば、政府が取り組もうとしている課題とその優先順位が分かります。
ザックリと、「短期的な課題」「長期的な課題」に分けて書かれていますね。
特に、短期的な課題として以下の8項目を挙げているのが今回の方針の特徴です。
1.賃上げ・労働市場改革・価格転嫁
2.中小企業の再編・活性化
3.革新技術の社会実装・投資拡大
4.起業支援・海外展開
5.地方活性化・食料安全保障
6.豊かで公平な社会の実現
7.外交・安全保障
8.防災・復興・国土強靭化
分かりやすいように、項目名を変えました。
さて、僕がポイントだと思うのは最初の3つですね。
「賃上げ」「価格転嫁」「投資」とあるじゃないですか。
ここ数年、連続で税収が過去最高を更新してるんですよ。
政府においては、これが全ての議論の出発点にならないといけませんよ。
円安が進み、輸出企業を中心に業績が好調。
だから、税収が増えた。
つまり、順番としては「価格転嫁」が1番ですよ。
大企業から中小企業への価格転嫁。
政府としては、何よりもまず適切な価格転嫁を促進していく政策が必要です。
そうならないとおかしいですよね。
「賃上げ」と「投資」といっても、もともと労働分配率(人件費の割合)が高い中小企業が、賃上げと投資に回すお金があるわけないですよ。
政府はどのようにして、価格転嫁を促進しようとしているのか?
これについて、独禁法、下請法による指導・監督の強化を挙げています。
それと、医療・介護・福祉分野での賃上げに向けた取組みを進めるとしています。
うーん、なんだかなあ。
まるで骨太ではないですね。
ちょっと枝葉末節な部分だけでお茶を濁して、あとは企業頼み。
「賃上げ」と「価格転嫁」はセットです。
まず「いの一番」に必要な「価格転嫁」と「賃上げ」ですが、最初から他力本願ではないですか。
賃上げについて、本文には次のように書いてあります。
日本の企業の8割が中小企業だとかなんとか。
国際的に見ても、異常に多い。
中小企業を整理・統合して、非効率を無くして、収益力を強化して賃上げの原資を生み出していくイメージでしょうね。
ともかく、経済財政政策というんだから、「価格転嫁」と「賃上げ」に政府がお金を入れなくてどうするんですか。
お金を入れるんでなければ、税制でやるということですよ。つまり減税。
政府がこういうところに積極的に介入せず、賃上げと投資については市場に委ねるということなら、もう中小企業は淘汰されてよいというメッセージです。
「円安が進み、輸出企業を中心に業績が好調」といっても、大企業も原材料費やエネルギーコストの高騰でそんなに簡単ではないでしょう。
そもそも、日本経済の「需要」と「供給」でいったら、明らかに需要不足でしょう。
税収が過去最高なんだったら、政府は賃上げの部分に大胆にお金を入れる。
同時に消費減税すれば、国内需要の喚起になるでしょう。
それをやらずに「投資」を促進したら、そりゃ「供給過多」になって投資も冷えて賃上げも冷えてしまうじゃないですか。

【Photo:NHK】
しかし、冒頭の「8つの課題」を見てください。
3から8まではどちらかと言うと、「投資拡大」「供給拡大」の話ではないですか。
冒頭に「賃上げ」「所得増加」を挙げておきながら、まるで具体性に欠けた内容。
そして、政府の「骨太の方針」の概要を説明したPDF資料を見てください。
中長期的な課題として、「財政健全化目標」と「歳出削減改革」をしっかり明記しています。
一部の識者の方が問題視していますが、実質賃金が過去最低の26か月連続マイナスの状態。
それなのに、政府は「これからはもうカネを出さない」と宣言しているんですよ。
どういうことですかこれは。
税収が過去最高なのに、これからは財政支出を抑える。
「賃上げ」「所得増加」を挙げておきながら、まるで具体性がない。
消費減税や内需拡大に言及していない。
財政支出を抑えるということは、税収が減っていくということですよ。
税収が減ると増税だと言い出す。
そしたら、ますます可処分所得や投資に回す資金が減るではないですか。
悪循環になることが目に見えています。
マクロ政策の「フィリップス曲線」というのがあります。
失業率とインフレ率の関係を表すグラフ。
政府の財政政策の指標となり、デフレで物価が上がらず失業率も上昇していれば政府支出を増やし、逆に安定的に物価上昇を続けているときは増税で政府支出を引き締めるという話です。
現況のインフレ率はコストプッシュインフレによるものであり、依然実質賃金がマイナスの状況で、経済対策を引き締めるのは時期尚早だという識者もおられます。
繰り返しになりますが、税収が過去最高なのに、これからは財政支出を抑える。
「賃上げ」「所得増加」を挙げておきながら、まるで具体性がない。
消費減税や内需拡大に言及していない。
つまり、岸田内閣の「骨太の方針2024」は、まるでデタラメだということです。
今回の骨太の方針について、KSI政策ニュースや野村総合研究所のサイトでポイントをまとめられています。
野村総合研究所の木内氏は、やはり賃上げ、労働市場の問題を取り上げておられます。
ほかのNHKの記事を読むと、官僚が立案する個別のテクニカルな政策については書かれていますが、その前段として、政治的なビジョンの不在を感じさせます。
木内氏にしろ、政府の資料にしろ、なんとなく「労働生産性の向上」ということでお茶を濁していますが、まず賃金が上がって、労働者の所得が増えて、GDPが増加しなければ、労働生産性は上がらないのだ。
「労働生産性」とは、国の富=GDPを向上させる「手段」ではなくて、国の富=GDPが向上した結果、労働生産性が向上するという、「結果」の指標ですよ。
とんでもない勘違いじゃないんですか?
いずれにせよ、今回の骨太の方針はデタラメの茶番に満ちたものではないのか。
本日の記事は以上です。