こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
先日、岸田総理の年初の施政方針演説のまとめを書いたところです。
内閣府のホームページにおいて、今年1月23日の岸田さんの施政方針演説の全文が公開されています。
今、こども・子育て政策の財源についてマスコミやネットやSNSで現役世代を中心に大きな話題となっているのですが、そもそもこども・子育て政策の中身は何でしょうか?
岸田さんがこども・子育て政策を「異次元の少子化対策」とぶち上げた経緯とその内容についてまとめようと思います。
岸田総理は施政方針演説で次のように述べています。
こども政策担当大臣に指示した、3つの基本的方向性に沿って、こども・子育て政策の強化に向けた具体策の検討を進めていきます。
「3つの基本的方向性」とは何でしょうか。
これは次の資料で確認することができます。
内閣官房こども家庭庁設立準備室が作成した「こども政策の強化について」というものです。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/dai13/siryou2.pdf
3つの基本的方向性とは次のようなものです。
1)児童手当を中心に経済的支援を強化すること。
2)学童保育や病児保育を含め、幼児教育や保育サービスの量・質両面からの強化を進めるとともに、伴走型支援、産後ケア、一時預かりなど、全ての子育て家庭を対象とした
サービスの拡充を進めること。
3)働き方改革の推進とそれを支える制度の充実を図ること。その際、育児休業制度の強化も検討すること。
「岸田総理は1月6日の伊勢の会見で、3つの基本的方向性に沿って検討を進め、3月末を目途に、具体的なたたき台をとりまとめ、6月の骨太方針2023(経済財政運営の指針)までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示するよう指示した」と書かれています。
岸田さん、最初に「予算倍増」と言っちゃっています。
それで「予算規模ありき」と言われるのですが、いずれにせよ財政運営の骨太方針を示さないといけないので、こども政策の内容とその財源の議論を並行して行うという流れになります。
1月6日の岸田総理の伊勢の会見、1月23日の施政方針演説のあと、日経新聞などが「次元の異なる少子化対策」について報じました。
内閣官房こども家庭庁設立準備室が作成した上の資料では、慌ただしく複数回の有識者ヒアリングをおこない、3月末にたたき台を取りまとめるとしています。
そして、3月末日時点で、こども政策担当大臣名で取りまとめられた資料が、「こども・子育て政策の強化について(試案)」というものです。
この資料こそが、岸田さんの言う「異次元の少子化対策」の内容です。
Photo:内閣府ホームページ
この「試案」「たたき台」と言われる資料は、次のような構成となっています。
▶はじめに
▶Ⅰ こども・子育て政策の現状と課題
▶Ⅱ 基本理念
▶Ⅲ 今後3年間で加速化して取り組むこども・子育て政策
▶Ⅳ こども・子育て政策が目指す将来像と PDCA の推進
▶おわりに
「Ⅰ こども・子育て政策の現状と課題」です。
ここでは、1990年代から少子化対策は行ってきたが成果を上げることができなかった。
転機となったのは「社会保障と税の一体改革」で、消費税という安定財源を得た、それでもなお様々な課題が山積し少子化に歯止めがかかっていない、ということが書かれています。
「Ⅱ 基本理念」では、若い世代の所得を増やし、育児休業制度を整えて働き方そのものを変えて、子育て支援制度全体を見直してサービスを拡充する、ということが述べられています。
「Ⅲ 今後3年間で加速化して取り組むこども・子育て政策」とは、総理が指示した3つの基本的方向性(上の基本理念)を踏まえて、政策の内容を具体的に列挙したものです。
まさに「異次元の少子化対策」のキモとなる部分ですね。
▶児童手当の所得制限撤廃と高校卒業まで延長▶出産・子育て応援交付金の制度化▶出産育児一時金の引き上げ▶こども医療費助成の国民健康保険の減額調整措置を廃止▶学校給食費の無償化▶貸与型奨学金減額返還制度の拡充▶授業料等減免及び給付型奨学金の対象年収拡大▶授業料後払い制度(日本版 HECS)の創設▶公営住宅への子育て世帯の優先入居▶住宅ローン(フラット 35)の金利負担軽減▶保育人材の配置基準見直しと処遇改善▶放課後児童クラブの拡充(「小1の壁」打破)▶ひとり親の職業訓練給付金の拡充▶育児休業給付率を10割へ引き上げ▶時短勤務に対する給付創設▶中小企業への助成強化▶雇用保険の適用拡大▶国民年金保険料免除制度の拡充。
ざっと列挙しましたが、これまで不満の声が多かった様々な制度に網羅的にきめ細かく切り込んだ改善を行う内容です。
ちょっと細かすぎる気がします。
とにかく現役世代の可処分所得を大幅に増やすことが、結婚と出産につながると思うんです。
可処分所得が増えても結婚と出産にお金を使うかどうかは議論が分かれるところではありますが・・。
「Yahoo!くらし」のページでも、政府の資料をもとに子育て世帯への支援内容を網羅的にまとめています。
例えばウチは標準的な所得の世帯で中学生と小学生の3人娘なんですが、上記施策の恩恵にあずかれるのは、児童手当の高校卒業まで延長、学校給食費の無償化くらいでしょうか。
多少負担は減りますが、将来の教育費を貯金できるくらい「異次元」かというと、そうでもないですね・・。
「おわりに」では、岸田総理が年初に指示した内容をふまえて、「4月以降、内閣総理大臣の下に新たな会議を設置し、更に検討を深めるとともに、こども家庭庁においてこども政策を体系的にとりまとめつつ、 6月の骨太の方針 2023 までに、将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示する。」
このような政府の動きを経て、各メディアでは「異次元の少子化対策の内容とその財源」について、さかんに報じているというわけですね。
本日の記事は以上です。