仕事したくない事務職のオッサンのビジネスブログ

40代中年の危機 休職と復職 働き方改革 ワークライフバランス 副業・複業 メンタルセット

あおり運転トラブルで逆転無罪。「正当防衛」が認められた注目の判決

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。

 

僕は過労と上司のパワハラにより半年間の休職に追い込まれました。

職場復帰した後も仕事に対する情熱を失い、難しい仕事に真摯に取り組もうというやる気を失い、約3年間も心身の不調に悩まされてきました。

 

復職してから1~2年はこういう記事をずっと書いてきたんです。

あの頭のおかしいクソ上司に何とか正当な手段で倍返しできないものか。

金属バットでぶん殴ってやる。

いや、もちろん実行には移しませんよ。妄想です。

 

ザックリした計算ですが、精神科にかかった医療費50万円。

休職中(正確には病気休暇)の減給50万円。

慰謝料100万円。

合計200万円。

ヤツに支払わせるにはどうすればよいのか?

 

現実に裁判を起こすには証拠を集めなければなりません。

しかし、その当時は仕事で疲弊し心身はボロボロだったので、裁判の準備をするなんてことできるわけがありません。

仮に裁判に持ち込んだとしても、弁護士費用が嵩んだ上にほとんど取り返せないというのが関の山です。

 

結局、複数の部下を精神科や休職に追い込んでおきながら、当該パワハラ上司は訓告処分(ただの口頭注意)を受けただけで、普通に管理職に昇進して何食わぬ顔で仕事を続けています。

 

これを泣き寝入りと言わずして何と言うでしょうか?

 

そんなとき「私刑」という言葉が脳裏をよぎりました。

 

私刑 - Wikipedia

 

私刑(しけい)とは、国家ないし公権力の法に基づく刑罰権を発動することなく、個人または特定集団により執行される私的な制裁。(Wikipedia

 

まさにこれです。

公権力がパワハラ上司に制裁を加えなかったので、それに代わって個人自らが私的な制裁を執行する。

 

これは言ってみれば「原状回復」ということです。

公権力が制裁を加えるのを放棄したのだから、被害者が自ら原状回復を行うのです。

「私刑」とは、社会から容認されるか容認されないかという次元から離れて、加害者と被害者の1対1の関係のなかで行われるのが本来の語義のはず。

他人が、社会がどう判断するかというのは関係ないんです。

 

被害を被った被害者が、その被害の「原状回復」を行うために金属バットで殴ってけがをさせるんです。

被害者が被った損害が200万円だとすれば、金属バットで殴られて入院代が200万円かかってもそれでチャラでしょう。

これが「原状回復」の意味です。

 

-PR-

しかし、上のWikipediaやネット上の多くの「私刑」に関する記事では、死刑とは、独善的な正義感に駆られた第三者が、「ネットいじめ」や「メディア・リンチ」に及ぶことを「私刑」だと解説している。

僕の感覚からすれば、それは議論のすり替えで、実にヘンテコな解説に思えます。

「私刑」とは第三者が介入しないのが「私刑」なんですから。

 

legalus.jp

 

上のサイトでは、同じく「私刑」に関する解説がなされています。

海外では、殺人や窃盗の犯罪の現行犯に対して民衆が制裁を加えるという私刑行為が許されている国もあるそうです。

 

日本では、憲法31条が、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定めており、刑罰を課すには国家が法律に基づく必要があります。よって、私刑は禁止されています。

 

このように、日本では憲法31条で私刑が禁止されています。

かくして「私刑」という言葉はドラマや小説などフィクションの世界だけの話となっています。

 

まあ、それはそうでしょう。

実際にはやりませんよ。

やったら大変なことになりますよ。

 

「私刑」を「集団リンチ」だと解釈すれば、それは暴力事件の色彩を帯びます。

しかし、それが被害者にとっての「原状回復」であり「正当防衛」であると解釈すれば、なお議論の余地はあるでしょう。

 

最近次のような注目すべきニュースがありました。

 

www.bengo4.com

 

あおり運転をされてスマホで撮影されて顔を殴られた男性が、とっさに手に持った工具であおり運転をした相手を複数回殴り返して頭部骨折のけがをさせたというもの。

阪高裁はこれを「正当防衛」と認定し、逆転無罪を言い渡しました。

 

やられたらやり返して、「正当防衛」が認められた。

これは注目すべき判決です。

 

正当防衛とは、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない」(刑法36条)と規定されています。

極めて簡単に言うと、傷害などの犯罪となるような行為をしてしまった場合であっても、防衛の意思を持って、自分や他人の権利を守るためにおこなった必要かつ相当な行為であれば、犯罪は成立しないというものです。

これは、国家による救済が受けられないような緊急事態に限っては、自分または他人の権利が違法な侵害にさらされており、それを守るための行為であれば、違法な行為とは評価できないという考え方によるものです。

 

急迫不正の侵害」であって、「国家による救済が受けられないような緊急事態に限っては」というのがポイントですね。

 

危機が迫った状況で、即座に反撃すれば正当防衛になるんですよ。

 

200万円に相当する損害を負わせられた。これに対して即座に反撃して200万円分の損害を与える。これは正当な行いではないか?

 

泣き寝入りに甘んじるのではなく、もっと「正当防衛」や「原状回復」に関する議論と理解を深めていきたいと考えます。

 

繰り返しになりますが、ムカついたからといって金属バットで殴ったら大変なことになるので止めておきましょう。

 

本日の記事は以上です。