こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
先日僕は最低賃金引上げの記事で、経営者側は引上げに反対している、経営者や経団連は賃金が上がるにはどうすればよいか議論すべきだということを書きました。
そのあと、東洋経済オンラインの記事で慶應義塾大学大学院准教授の小幡績さんが次のような記事を書いていました。
読んで考えさせられましたね。
何回も読むべき記事です。
「賃上げ」は、空から降ってこないし、上からも降ってこない。「お上」からも、そして、経営者からのお慈悲で降って来るものでもないのである。それは、労働者が自らつかみ取るものなのである。経営者と交渉して、労働者が払わせるものなのである。
そう言われるとそうかもしれない。
「資本よりも労働者が経営には不可欠だ」「より経営に役に立つ」と、経営者に思わせ、払わざるをえないようにして、初めて得られるものなのだ。したがって、日本の賃金が低いのは、労働者が、この闘争を「サボっているから」なのである。努力不足なのである。
確かに労働者が賃金闘争をサボっているというのはあるかもしれないですね。
労使が一致協力してきたおかげで戦後数十年の右肩上がり。
経済成長も賃金も右肩上がりでした。
しかしバブルが崩壊して平成になって経済成長がストップしたにもかかわらず、労使のなあなあ体質が維持されてきたので、経済成長も賃金も一向に良くならなかったですね。
【Photo:東洋経済オンライン】
しかし小幡さんの記事にも疑問はあります。
経営者と交渉して、労働者が払わせるものなのである。
日本の賃金が低いのは、労働者が、この闘争を「サボっているから」なのである。
と言いますが、本当にそうなのか?
本文では米国のことには触れられていますが、では他にも最低賃金が引き上げられているドイツや英国やフランスや韓国のことには触れられていませんね。
ドイツや英国やフランスや韓国の賃上げは、政府主導ではないのか?
各国の最低賃金 pic.twitter.com/Jk0qbmefde
— 平 均 (@225average) 2022年8月6日
確かにアメリカは労働運動があって、賃金の高いところに労働移動が起きて、労働者自らが主体的に賃上げを獲得していると言えるかもしれない。
その意味では小幡さんが書いているように「転職する力、exitの力が弱いことが、日本の賃金が上昇しない、唯一、最大の理由である。」
SEなどのIT職の人たちが、賃金の高いところへ移動していけるかということが重要です。
しかしそれは、特別なスキルを持つ専門技術職だけに当てはまるのであって、その他の総合職や一般職には当てはまりませんね。
要するに、労働者が賃上げ闘争をサボっていることだけが原因ではないんです。
やっぱり政府と民間が協力して、どうやったら経済成長と賃金上昇を実現するかという戦略を議論する必要があるのではないかと。
小幡さんの記事では労働者だけの問題としているわけではありません。
記事は次のように結ばれています。
物価も、賃金も、企業の生産性も、要は、日本人が意気地なしで、強いものと戦わず、工夫もせず、摩擦を避けて、逃げて、弱いところにひずみを生じさせている、という問題に尽きるのである。これが、日本経済、いや日本社会の唯一最大の問題であり、これを解決すれば、ほとんどの問題は解決するのである。
このことをよくよく考えないといけませんね。
本日の記事は以上です。