こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
仕事人間でしたがきっつい上司に潰され、5か月以上休職したのち復職しました。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していたんですよ。
さて休職して自分と向き合う時間ができたので平成の振り返りをしたいんですが、僕にとって平成の30年間(から令和の現在まで)ほぼどっぷりヘヴィメタルを聴いて過ごしてきたんですね。
そこで平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。
歴史は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は鮮烈に思い出されます。
第35回目は米国のNile(ナイル)の2枚目のフルアルバム「Black Seeds of Vengeance(ブラック・シーズ・オブ・ヴェンジェンス)」です。
「Black Seeds of Vengeance」は2000年リリースで、2000年は平成12年になります。平成12年は僕が26歳でした。
■2000年の日本(wikipediaより)
◆コンピューターの2000年問題◆プレイステーション2発売◆地方分権一括法、民事再生法、介護保険制度が施行される◆第一火災海上保険が日本初の損害保険会社の経営破綻◆ストーカー規制法公布◆日本長期信用銀行が新生銀行に改称◆金融庁発足◆みずほフィナンシャルグループ発足◆第二電電・KDD・日本移動通信が合併しKDDIが発足◆千代田生命保険が経営破綻◆BSデジタル放送開始◆世田谷一家殺害事件発生
◆ベストセラー:大平光代『だから、あなたも生きぬいて』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ『話を聞かない男、地図が読めない女』J・Kローリンズ『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』辰巳渚『「捨てる!」技術』五木寛之『人生の目的』乙武洋匡『五体不満足』◆映画:『007ワールド・イズ・ノット・イナフ』『グリーンマイル』『アメリカン・ビューティー』『ミッション・トゥ・マーズ』『グラディエーター』『ミッションインポッシブル2』『リプリー』『パーフェクトストーム』『チャーリーズ・エンジェル』『バトル・ロワイアル』...etc.
90年代は米国のフロリダのデスメタルとスウェーデンのメロディック・デスメタルの全盛期でした。
比べて2000年代のエクストリームメタルというのは個人的には停滞期でしたね。
CDは買いまくっていたんですが、ややメタル熱は冷めていました。
そんななかで2000年にリリースされたのが本作「Black Seeds of Vengeance」です。
Nileは1993年、米国サウスカロライナ州で結成。
ブルータルでテクニカルなデスメタルバンドです。
結成時からギター、ヴォーカル、ソングライティングを担うバンドの頭脳はカール・サンダースです。
彼の強烈なエジプト神話への探求心。これがバンドのサウンドコンセプトとなっています。
結成から2023年現在に至るまでスタジオアルバムを9作品リリースしていますが、一貫してエジプト神話を題材にしたコンセプト・アルバムを創り続けています。
アルバムジャケットアートワークにもそのこだわりが表れています。
日本でのデビューは、2000年にトイズファクトリーから1stアルバム「Amongst the Catacombs of Nephren-Ka」と2nd「Black Seeds of Vengeance」の同時リリースとなりました。
彼らのサウンドの特徴は、基本的にブルータルなデスメタルで、低い音域の咆哮型ヴォーカル、目まぐるしく展開する曲調とテクニカルなギターワーク、ブラスト主体のドラミングです。
そこに、アラビア音階というかオリエンタル・スケールというか、エジプト風のサウンド・アレンジを施したものとなっています。
この作風は既にデビュー時から確立しており、テクニカルで高品質な1stアルバムを完成させています。
彼らはデビュー時からたびたびメンバーチェンジを行っていますが、上記のサウンドコンセプトは全く変わっていません。
ですから、どのアルバムを聴いても全部同じに聞こえてしまうという欠点があります(笑)。
しかし、繰り返しになりますが、バンドの頭脳であるカール・サンダースの衰えることのないエジプト神話への情熱を基礎としたそのサウンドは、ブルータルでテクニカルなデスメタルを愛好するリスナーの期待を裏切りません。
Suffocationあたりと並んで、ブルータルでテクニカルなデスメタルの代表的なバンドとしての地位を確立しました。
本作「Black Seeds of Vengeance」です。
本作の聴きどころは、全編通じて多彩でドラマティックな曲展開なんですが、やはりタイトルトラックの「Black Seeds of Vengeance」ですね。
ラストのコーラスパートが強力です。
ドラムはやはりこの手のサウンドの要なんですが、本作で叩いているのは1stアルバムで叩いていたピート・ハモウラではなく、実はセッションドラマーのデレク・ロッディーです。
このデレクのドラムプレイがとにかく凄いの一言ですね。
ピート・ハモウラも上手かったし、3rdアルバムで叩いたトニー・ラウリーノも名手でした。このバンドはドラムプレイ聴き比べが面白いです。
バンドは2004年からギリシャ人のジョージ・コリアスをドラマーに起用し、2005年の「Annihilation of the Wicked」以降の全ての作品で叩いています。
彼はドラム講師として世界中で活動しており人気が高く、バンドは彼に絶大な信頼を寄せているのだろうと思います。
しかし、個人的には彼がドラマーに固定して以降の作品は聴かなくなってしまいました。何となく彼のドラムサウンドは単調なんですよね・・。
Arch Enemyのダニエル・アーランドソンは雑誌のインタビューでジョージのプレイを絶賛しているんですが。
本当にNileの全作品を聴き込んで楽しもうと思うなら、各作品の背景となるエジプト神話を研究してサウンドに没入するという忍耐力が求められるのかもしれません(笑)。
デスメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、デスメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
僕も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのNileのように粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。