こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
仕事人間だった筆者がきっつい上司に潰され、5か月以上休職したのち復職しました。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していたんですよ。
さて休職して自分と向き合う時間ができたので平成の振り返りをしたいんですが、僕にとって平成の30年間(から令和の現在まで)ほぼどっぷりヘヴィメタルを聴いて過ごしてきたんですね。
そこで平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。
歴史は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は鮮烈に思い出されます。
第14回目はスウェーデンのMeshuggah(メシュガー)の3枚目のフルアルバム「Chaosphere」です。
「Chaosphere」は1998年リリースで、1998年は平成10年になります。平成10年は筆者が24歳のときに当たります。
■1998年の日本(wikipediaより)
◆新進党の6分裂や民主党の躍進、公明党の再発足、自社さ連立政権の終焉により政界勢力図が大きく変動した◆前年に続き、日本長期信用銀行や日本債券信用銀行など、大手企業や銀行の倒産が相次いだ◆日本の年間自殺者数(警察庁発表データによる)が前年より8000人以上増加して3万人を超える。中でも、50代の自殺が急増している◆CD生産枚数が合計で約4億5717万枚と国内史上最高を記録し、CDバブル絶頂期となる◆同じく日本国内でのセルビデオソフトのうち、ビデオカセットでの売上金額が約2121億円、売上本数が約5232万本と国内史上最高を記録する◆日本でiMac発売◆和歌山毒物カレー事件
◆ベストセラー:五木寛之『大河の一滴』リチャード・カールソン『小さいことにくよくよするな!』郷ひろみ『ダディ』鈴木光司『ループ』さくらももこ『ももこの話』小林よしのり『新ゴーマニズム宣言スペシャル戦争論』浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』◆映画:『HANA-BI』『G.I.ジェーン』『リング』『らせん』『フェイス/オフ』『アミスタッド』『グッド・ウィル・ハンティング』『007トゥモロー・ネヴァー・ダイ』『エイリアン4』『スターシップ・トゥルーパーズ』『ガタカ』『L.A.コンフィデンシャル』『リーサルウェポン4』『プライベート・ライアン』『アルマゲドン』...etc.
Meshuggahは1987年にフレドリック・ソーデンダルが中心となってスウェーデンで結成されました。
スウェーデンは90年代、デスメタルにメロディやハーモニーを取り入れたバンドが割拠していて、フレドリック・ノルドストロムいう名プロデューサーのいるスタジオがあり、メロディックデスメタルの聖地と呼ばれていました。
90年代は米国のフロリダで多くの個性的な純正デスメタルバンドが高品質の作品をリリースしていて、一方、スウェーデンでは新しいメロディックデスメタルの流れが奔流となり、イン・フレイムス、ダーク・トランキュリティー、アット・ザ・ゲイツ、アーチ・エネミーなどが叙情的なメロディやハーモニーをアグレッシヴミュージックに取り入れた、かつてない優れた作品が多数登場しました。
この頃は本当に良かった・・・。
Meshuggahの初期の作品は、メタリカなどのスラッシュメタルをベースにしたサウンドでしたが、徐々に上記のスウェーデンのメロデスバンド群とは一線を画すアグレッシヴミュージックを確立していきます。
「Chaosphere」というタイトル、面白くてパワフルです。
「Chaosphere」は、ポリリズムやシンコペーション、変拍子を織り交ぜた複雑なリズムを特徴とし、「Meshuggah」という一つのジャンルといっていいサウンドを確立した記念碑的作品です。
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1曲目の「Concatenation」は、凄まじい轟音。1聴目はただのノイズ。
繰り返し聴いてみると、ノイズのなかにドラムとギターがシンクロしながら変なリズムを延々と刻んでいるのがわかります。
2曲目の「New Millennium Cyanide Christ」も1聴すると摩訶不思議なリフを延々と繰り返すノイジーな曲。
繰り返して聴くうちにそのグルーヴにヘッドバンキングしてしまうこと必至。
8曲目まで、ひたすら無機質かつマシーナリーな変拍子風ディストーションサウンドが延々と刻まれます。
まさにジャケットイメージのとおり。
洋画の「キューブ」や「ソウ」のような拷問系ソリッドシチュエーション(?)近未来SFサウンド。
ジャケットアートはこのバンドのドラマー、トーマス・ハーケ氏のデザインによるもの。
トーマスのドラミングは超複雑で、このバンドのサウンドを支えるとともに、ドラム以外の作詞作曲やアートワークも手掛けており、フレドリックとともにこのバンドの世界観を創る頭脳です。
筆者はこの前のアルバム「Destroy Erase Improve」(1995年)や後の「Nothing」(2002年)のほうが実は好きなのです。
しかし、「Chaosphere」はさっきも書いたように極端なMeshuggahサウンドの完成形を提示し、後にそのサウンドを形容した‟Djent”(ジェント)というアグレッシヴミュージックの一つのジャンルとなり、多くのフォロワーバンドを生み出した点で、金字塔といえる作品です。
Meshuggahは「Chaospere」以降も約4年ごとに新作をコンスタントに発表しており、どれもクオリティが高く、駄作は一つもありません。
プログレッシブ・デスメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、プログレッシブ・デスメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
筆者も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのMeshuggahのように、粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。