こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
仕事人間だった筆者がきっつい上司に潰され、5か月以上休職したのち、復職しました。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していたんですよ。
さて休職して自分と向き合う時間ができたので平成の振り返りをしたいんですが、僕にとって平成の30年間(から令和の現在まで)ほぼどっぷりヘヴィメタルを聴いて過ごしてきたんですね。
そこで平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。
歴史は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は鮮烈に思い出されます。
第10回目はスウェーデンのIn Flames(イン・フレイムス)の2枚目のアルバム「The Jester Race」です。
「The Jester Race」は1996年リリースで、1996年は平成8年になります。平成8年は筆者が22歳のときに当たります。
■1996年の日本(wikipediaより)
◆日本国内のウェブサイトが増加。1996年3月から翌1997年3月までの一年間に推定8.76倍増加した◆ポケットモンスター赤・緑(任天堂)やたまごっち(バンダイ)といったゲームが発売されヒット◆歌手安室奈美恵のファッションを真似たアムラーが出現する◆女子高生にミニスカートやルーズソックスが流行◆女子高生の援助交際が社会問題化。『援助交際 - 女子中高生の危険な放課後』(黒沼克史)がヒットし、流行語大賞にもノミネート◆原爆ドームが世界遺産に登録
◆ベストセラー:渡辺淳一『失楽園』野口悠紀雄『「超」勉強法』◆映画:『Shall we ダンス?』『岸和田少年愚連隊』『キッズ・リターン』『スワロウテイル』...etc.
In Flamesは1990年にイェスパー・ストロムブラッドが中心となって結成されました。ブルータルなデスメタルに、アイアンメイデンのメロディックなツインギタースタイルを取り入れたバンドですね。
スウェーデンは当時、デスメタルにメロディやハーモニーを取り入れたバンドが割拠していて、フレドリック・ノルドストロムいう名プロデューサーのいるスタジオがあり、メロディックデスメタルの聖地と呼ばれていました。
90年代は、米国のフロリダで多くの個性的な純正デスメタルバンドが高品質の作品をリリースしていて、一方、スウェーデンでは新しいメロディックデスメタルの流れが奔流となり、イン・フレイムス、ダーク・トランキュリティー、アット・ザ・ゲイツ、アーチ・エネミーなどが叙情的なメロディやハーモニーをアグレッシヴミュージックに取り入れた、かつてない優れた作品が多数登場しました。この頃は本当に良かった・・・。
当時、僕は深夜の某HM/HRラジオ番組で、本作品収録の「Dead Eternity」という曲を聴き、余りの衝撃に魂が震えました。
☟日本ではトイズファクトリーからリリースされた。ジャケットも曲順も違う!
Armageddonの「Crossing the Rubicon」の時も書きましたが、この作品もHM史上、最高峰作品の1つ!ヘヴィメタルに求める要素の全てが入っている!
僕はこの作品が大好きです。
墓場に1枚持っていくとしたらこの作品を選びます。
1996年当時発売された日本版の1曲目に収録されているのは永遠のマスターピース「Dead Eternity」です。
本作のライナーノーツを書いている某メタル専門誌のライター前田岳彦氏は彼らの音楽を評して、
‟どうして、これほどまでに、激しく美しく哀しく儚いのか・・・”
‟重く叙情的な、泣きと慟哭のメロディ”
と書いていましたが、全く同感です。
このバンドの頭脳は前述のイェスパーですが、この作品で特筆すべきなのは、イェスパーとともにツインギターの両翼を担ったグレン・ユングストロムの存在です。
彼はやや過小評価されていますが、この作品の楽曲中「Dead Eternity」「The Jester Race」「Graveland」「December Flower」「Dead God in Me」は、イェスパーとグレンの共作なんですよね。
いずれも激しく哀しい超名曲!
このギターコンビの化学反応が、本作を唯一無二の存在まで高めたのです。
なお、グレンはIn Flames脱退後、イェスパーとともにDimension Zeroというプロジェクトを立ち上げ、「Penetrations from the Lost World」という作品を制作。
これがまたグレンとイェスパーがベストマッチの曲作りを行い、ミニアルバムだが素晴らしい出来栄えとなっています。
そして、「The Jester Race」でもう一つ特筆したいのは、「December Flower」でギターソロを弾いているフレドリック・ヨハンソンというギタリストです。
個人的なギターソロベスト5に入る、素晴らしくメロディアスなソロプレイ!
また彼は、「Penetrations from the Lost World」の「Dead Silent Shriek」という曲でも素晴らしいソロプレイを披露しています。
フレドリックはAll Endsというバンドでも活動歴があるものの、派手なギターソロを残している作品が圧倒的に少なく、ほとんど評価されていないプレーヤーだと思いますね。非常に残念。もっと出てきてほしいです。
「The Jester Race」でいわゆるメロディックデスメタルの一つの到達点を極めたIn Flamesですが、1997年に「Whoracle」発表後、ギターのグレンが脱退します。
ドラマーのビヨーン・イエロッテがギターにスイッチして、ドラマーにダニエル・スヴェンソンが加入しました。
この新ラインナップによる1999年の「Colony」と2000年の「Clayman」で、彼らはメタルバンドとしての黄金期を迎えました。
僕のなかではイェスパー・ストロムブラッド在籍時の最後の作品となる2008年の「A Sense of Purpose」をもってIn Flamesは終焉を迎えたと思っていますが、その間の彼らの約10年間の音楽活動には大いに夢を見させてもらいました。
2002年の「Reroute to Remain」、2004年の「Soundtrack to Your Escape」、2006年の「Come Clarity」は賛否両論あったものの、今振り返ってみると、どの作品を取ってみても唯一無二のヘヴィメタルが聴けるんですよね。素晴らしいです。
デスメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、デスメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
筆者も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのIn Flamesのように、粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。