こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
仕事人間だった僕はきっつい上司に潰され、5か月以上休職したのち先々月復職しました。
休職期間中は仕事のことを一切忘れて、デスメタルTシャツを着込んで、デスメタルを聴きながら療養していたんですよ。
さて休職して自分と向き合う時間ができたので平成の振り返りをしたいんですが、僕にとって平成の30年間(から令和の現在まで)ほぼどっぷりヘヴィメタルを聴いて過ごしてきたんですね。
そこで平成の回顧録的観点から、もはやクラシックだが色褪せないヘヴィメタルの名盤を紹介します。
歴史は風化したり断絶したりしますが、優れた作品を聴いた時の衝撃は鮮烈に思い出されます。
第7回目はDeath(デス)の5枚目のアルバム「Individual Thought Patterns」です。
「Individual Thought Patterns」は1993年リリースで、1993年は平成5年になります。平成5年は僕が19歳のときに当たります。
■1993年の日本(wikipediaより)
◆形状記憶ワイシャツや3つボタンスーツが発売され、話題となる◆スズキ・ワゴンRが発売され、ロングセラーとなる◆ナタ・デ・ココブーム◆横浜ランドマークタワー竣工◆ベストセラー:五木寛之『生きるヒント』遠藤周作『深い河』◆映画:『クリフハンガー』『月はどっちに出ている』『学校』『ゴジラvsメカゴジラ』『お引越し』...etc.
Deathはアメリカのフロリダで1984年に結成されました。
フロリダは当時、デスメタルバンドが割拠していて、スコット・バーンズという名プロデューサーのいるスタジオがあり、デスメタルの聖地と呼ばれていました。
先日、Deathの4枚目のアルバム「Human」について書きました。
「Human」ではギターにポール・マスヴィダル、ドラムにショーン・レイナートを起用し(ともにCynicのメンバー)、非常にクオリティの高いテクニカルな作品に仕上がっていました。
本作「Individual Thought Patterns」ではCynicの二人と別れ、新たにドラムにDark Angelのジーン・ホグラン、ギターにKing Diamondのアンディ・ラロック、ベースには前作と同様スティーヴ・ディジョルジオを起用。
これが当たって、「Human」とはまたテイストは違えどハイクオリティの芸術作品となりました。
当時は「Human」「Individual Thought Patterns」ともに、バンドの頭脳であるチャック・シュルディナーのソロ・プロジェクトという見方もあったように、チャックの荒れ狂う音楽世界を、凄腕ミュージシャンの力を借りて形にしたような2作品です。
その前の「Spiritual Healing」では、ギターにやはり技巧派のジェームズ・マーフィーを起用しツイン・リードを形成したものの、ドラムとベースプレイが凡庸で緊張感が無く、チャックの音楽を表現できていませんでした。ジャケットのアートワークもショボかった。
「Human」の記事でも書きましたが、本作「Individual Thought Patterns」でもアートワークにRene Mivilleの作品を使っています。これが凄く良い。
1曲目「Overactive Imagination」から最後の「The Philosopher」に至るまで、全編聴いたことのない緊張感溢れるリフ、疾走とグルーヴを目まぐるしく繰り返す曲展開、チャックとアンディの交互に繰り出される流麗なギターソロパート。全ての要素がハイクオリティ。
リリースから30年近く経っても、「Overactive Imagination」のジーン・ホグランのドラムイントロを聴くとアドレナリンが噴き出します。
まさに人生を変えた最高傑作の1枚。
僕にとって青春そのものといっても過言ではない1枚です。
現在は、Alan Douchesによるリマスター版が出回っているようです。
1993年のドイツでのライヴ盤との2CD仕様となっています。
デスメタルをただのうるさい馬鹿げた音楽だと思ってはいけない。極めて芸術性の高い作品もあるのだ。若い頃ビートルズの先鋭的な音楽を聴いて衝撃を受け、50代、60代になってもマニアで居続ける人がいるが、デスメタルも同じだ。おそらく50代、60代になっても愛聴するだろう。そう思っています。
僕も40代半ばになりましたが、変に老成することなく、このときのDeathのように、粗削りで暗く尖ったオッサンでありたいと思います。