こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
コロナ禍で雇用不安が広がっています。
客観的なデータを提示して解説する能力はないですが。
今の状況は1990年代のバブル崩壊や2008年のリーマンショック以降の世界同時金融危機の経済社会不安と重ね合わさりますね。
ちょっと古い2003年の本ですが、梅森浩一さんという人が書いた『「クビ!」論。』という本があります。
当時、結構なベストセラーになったようですね。
-PR-
ちょっとAmazonから本の紹介を引用します。
1000人の社員のクビを切り、「クビキラー」の異名を持つチェース・マンハッタン銀行元人事部長が語る、リストラの表と裏。
「仕事が遅い社員は切られる」「仕事ができすぎる社員も実は危ない」「ゴマスリは万国共通」「まず「できます」と言え!」などなど、クビを切られないための実践的な指南も満載!
キレイごとではないリアルな雇用論は、“大クビ切り時代”を生きる、すべてのサラリーマン必読の書。
1990年代のバブル崩壊後にいわゆる「リストラ」という名の整理解雇が続発しました。
非常に厳しい時代を感じますね。
そのあたりに書かれた本です。
著者の梅森さんは本の紹介にあるように、外資系金融機関の人事部長職にあり、大量の解雇案件を担当していたようですね。
外資系企業というのはバンバン首を切るそうです。
タフな仕事です。
しかし「リストラ」とはWikipediaによれば「組織の再構築」というのが本来の意味のようですね。
梅森さんは「クビキラー」との異名(悪名?)を持っていますが、著者の主張は安易な解雇を戒めるという一面もあったようです。
著者は日本企業で「リストラ」「早期退職」「雇用調整」などの名の下に吹き荒れている安易な解雇を厳しく批判する。
人材の流動化と実務の効率化という本来の目的ではなく、目先の業績向上のみに関心を持っているため、一番重要な「持続する改革」に至らずに終わっているというのである。
首切りの嵐が吹き荒れるバブル崩壊後、しかも外資系の人事部長の「クビキラー」でありながら、一方で著者は安易な解雇を厳しく批判し、「リストラの本来の目的は人材の流動化と実務の効率化だ」というまっとうな主張をしていたんですね。
これもちょっと古い本でやはり経済や雇用が低迷していた2007年に出た『仕事が速くなる技術』という本があります。
もう中古本しかなさそうですが。
-PR-
大前研一さん、和田秀樹さん、羽生善治さん、原田泳幸さん、江口ともみさん、青山祐子さん、石田衣良さん、高城剛さんなど当時の著名人へのインタビュー記事をもとに編集されています。
このなかで梅森浩一さんのインタビュー記事があるんです。
雇用情勢が厳しい状況で、外資系企業がどういうスタンスで人を採るかというのがよく分かるんですよ。
ちょっと長くなりますが引用します。
【相手の立場から見て100%の仕事を目指すには】
たとえば、上司と部下の関係です。上司というのは極めて不安に思う人種なのです。
なぜ「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)を重視するかというと、ホウレンソウをしてくれないと、仕事が進んでいるのか進んでないのか、進捗状況がわからないから「不安」に感じるのです。
しかし上司にしてみれば、「この件はどうしたらいいでしょうか?」と、いちいち部下から聞かれるのも結構迷惑なものです。
だから、報告という、建前上断られないような形でもっていってあげたほうがよいのです。
「お時間のいい時、1分だけご相談させてください。お声をかけていただければいいです」と部下からいわれたら、普通は断らないでしょう。
(中略)これはお客さまに対しても同じことがいえます。
相手が上司でもお客さまでも、報告するときのポイントは次のとおりです。
▶ 報告はワンパターンでやらない。声をかける/かけない。メールで連絡する/直接話す。昼飯の時/朝。
たとえば、あなたの上司が朝一番の時に早く来ているような人なら、彼が来る前に行って、「おはようございます、昨日の件で一点ご相談があるんですが」というふうに話せば、朝はまだ時間がありますから、上司も無視するわけがないのです。
▶ とにかく相手の期待をオーバーするよりは下回るくらいでやりましょう。そうでないと、時間がいくらあっても足りません。ただしその場合はスピード優先で。「なによりも真っ先にやりました!」という感じを出すことが重要なのです。
▶ 「報告なんて当たり前にやっているよ」というあなたは、一つ上の「確認する技術」を身につけましょう。
これが元外資系企業の人事部長がいうところの「仕事が速くなる技術」「雇用不安でも解雇されずにあわよくば出世する技術」らしいです。
なんと面倒くさい仕事術でしょうか。
「ホウレンソウ」なんて時代を感じますね。
いまどき「ホウレンソウ」を重視する上司はむしろダメ上司といわれますよね。
こんなに上司のご機嫌をうかがってゴマスリして会社に残るくらいならクビ切られた方がマシですね。
でも森永卓郎さんに言わせれば外資系企業ってこんな感じらしいですね。
働き方改革には、正しい方向での「人材の流動化」と「実務の効率化」が必要なのは明らかです。
しかし以前にも書きましたが、人材の流動化が進むのはなんとなく良いことのような気がしますが、それは「解雇されやすくなる」ということと同義なんですね。
梅森さんは『「クビ!」論。』に「リストラの本来の目的は人材の流動化と実務の効率化だ」という趣旨も込めていました。
しかし、その趣旨がアメリカの外資系のやり方に寄っていくと、上司のご機嫌をうかがってゴマスリする者が出世するという、ショボい仕事論になってしまうんですね。
コロナ禍での雇用不安を解消し働き方改革を正しいやり方で進めるには、バブル崩壊期やリーマンショック期の教訓を学び、活かすことが必要ではないでしょうか。
本日の記事は以上です。
☟『「クビ!」論。』梅森 浩一(朝日新聞出版)