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36協定で長時間労働を労基署に届け出している企業(実名)

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。 

 

まえに労働基準法第32条のことを書きました。

 

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない

 

こういうふうに定められています。

いわゆるこの法定労働時間ですが、これを超えて働かせることは違法であり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が設けられています。

 

つまり法律では罰則を科して残業を禁止しているんですよ。

これが原則です。

 

しかし労使間で合意すれば、その上限を超えてもいいという、いわゆる36協定(サブロク)というのがあります。

 

企業は法定労働時間を超えて働かせると違法になるので、36協定を労使間で締結してこれを労基署に届出することで法律違反になることを防いでいるんですね。

 

東京新聞(中日新聞)の記者である中澤誠さんの著書『ルポ 過労社会 八時間労働は岩盤規制か』において長時間労働の問題が指摘されています。

 

ちなみに中澤記者、僕と同年代なんですがネットで調べたらちょっといろいろあったみたいです・・・。

 

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36協定でしたね。

中澤さんによれば、国内有名企業100社のうち、過労死ライン以上の残業をさせることができる36協定を結んでいる企業が、実に72社もあったというんですね。

ちなみにいわゆる過労死ラインとは月80時間以上の残業時間のことです。

 

ちょっと古い2012年の取材みたいですが、この本にその企業が実名で列挙されているんですよ。

 

その取材時点で36協定届出の上限残業時間が長かった順に

大日本印刷 月200時間

関西電力 月193時間

日本たばこ産業 月180時間

三菱自動車 月160時間

と続いています。

 

長時間労働を抑制する機能どころか、法律違反にならないように労働時間を伸ばして届けているんですね。

届け出するだけで、過労死ラインを超える労働をさせることができるんですよ。

まったく本末転倒で、それを黙認している労働組合側や受理している労基署もいかがなものかという。

あくまで届け出であって労基署が何か指導するという性質のものではなく企業的には労使間できちんと合意しているから問題ないという理屈ですね。

 

過去に過労死や過労自殺の事案が発生した企業についても同様の調査をしています。

それによると

NTT東日本 月258時間

新興プランテック 月180時間

ニコン、JA下関、東芝電機サービス 月150時間

となっています。

 

月258時間て・・。

誰も違和感を感じないんでしょうか?!

 

長時間労働が過労死や過労自殺の原因である可能性が高いにもかかわらず、これらの企業は長時間労働の実態を全く是正する気がないといえるでしょう。

つまりブラック企業ですね。

 

ちょっと古い情報にはなりますが、企業や経団連、そして労働組合でさえ現状追認長時間労働が問題であるという認識がほとんどなく、逆に国際競争力が下がるから上限規制を撤廃せよと政府に要求しているのですね。

 

本書にはそういった2012~2015年頃の当時の状況が詳しく書かれています。

 

本日の記事は以上です。

 

☟『ルポ 過労社会 八時間労働は岩盤規制か』中澤 誠 著(ちくま新書