こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。
いま多読チャレンジをやっています。
読書は成長に必要な自己投資。
目の前のことに追われない教養、これを身につけて俯瞰で社会を批判的に眺める。そういう視点を身につけるために読んでもらいたいオススメの1冊を紹介します。
『ビジネスマンのための新・教養講座』(宮崎哲弥著)です。
-PR-
2002年発行のちょっと古い本です。
宮崎哲弥さんは1962年福岡県生まれで、現在57歳。
本書執筆時は40歳前後になります。
宮崎さんの印象は、マスメディアに流れる流行の考え方を、時代に左右されない歴史の知恵や教養の観点から批判的に評論する保守論客というイメージがあります。
ご本人は保守主義者ではないといわれるかもしれませんが。
西部邁さんをご存知でしょうか?
宮崎さんは西部さんの推薦を受けて処女評論集『正義の見方』(1996年)を出版しています。
因みに、僕は20年以上前の学生のころから西部さんの著作を沢山愛読してきました。
その西部さんは2018年1月21日に、遺書にある「自裁死」という死に方を選んでしまいました。
さて、宮崎さんの本書です。
評論集です。
このなかに「人はなぜ働かなくてはならないか」「働きがい大逆襲」という章があります。
ここ数年、労働のインセンティブ(動機づけ)が会社の将来性から「働きがい」にシフトしているそうだ。自分自身の心に問うてみる。「家族のため」「自分のため」「お金のため」「社会のため」。「~のため」を一個一個検討していくと、どうもすべてが不適当な気がしてくる。
ところで働くことは「国民の義務」だ。憲法27条に「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」こう規定されている。労働は憲法によって義務付けられているのだ。だが国や法律に「働け」って無理強いされてもなあ。そんなもんじゃないだろうって気がする。
社会哲学者の今村仁司によれば、「働きがい」、働きの価値は、労働そのものを源泉とするわけではなく、詰まるところ他人から評価されたい、他人に承認されたいという欲望に根差しているという(『近代の労働観』岩波書店1998年)。
私は今村の議論の説得性を承知しながらも、若干の疑義を持っている。たとえば職人気質を考えてほしい。誰がその手間を認めてくれるわけでもない。誰がその労に報いてくれるわけでもない。しかし、妥協して楽をするよりも、よい仕事をして満足を得たい。そういう職人の意気地は、今村の他者承認説では十分に説明できないと思うのだ。
仕事の喜び、「働きがい」は、じつは自分、家族、職場、社会・・・といった人と人との関係性ではなく、人とモノとの関係性のなかに見出されるのではないか。もちろんここでいうモノとは、実体としての物だけではない。事務や経営そのものでもよい。モノとは労働の客体である。そうしたモノと人との対話のなかにこそ、「働きがい」、仕事の価値の源泉があると私は思う。
本書は15年以上前のものですが、投資に関すること、銀行の凋落、新しいビジネスの潮流など幅広い話題を取り上げており、今でも通用する評論集となっています。
僕は休職してから、働く意欲をスッポリなくしました。
もう人間関係には期待も執着もしない。
仕事には6分の1の力しか投入しないと決めています。
しかし、改めて働くことの意味を「労働の客体との関係性」から見出す、職人的にモノと対話しながら仕事する、これは仕事が嫌にならない考え方のヒントになります。
本日の記事は以上です。