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日本的組織の問題に迫る:体育会系上司との闘い

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。

 

いま多読チャレンジをやっています。

 

読書は成長に必要な自己投資。

世の中を渡っていくためには、自分が今どういうポジション、組織に属しているか知る必要があります。

そういうときに読んでもらいたいオススメの1冊を紹介します。

『体育会系上司』(榎本博明著)です。  

 

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表紙に「脳みそ筋肉」な人の取扱説明書、帯文に昭和的化石人間に潰されない方法とあります。

僕を休職に追い込んだ上司がそうでした。

体育会系の上司は全く合わない感じでしたね。

 

この本をなかなか面白そうだと思って手に取ったのですが、内容は随分違います。

中身に「昭和的化石人間」という文言は出てきません。

ちょっと表紙のインパクトが独り歩きしている感じではあります。

「体育会系上司」を非難し、揶揄する内容ではありません。

 

本書は全六章から成りますが、第一章から、スポーツ熱の魅力、体育会系の魅力を論じています。

あとがきにあるように、著者は体育会系が苦手でそこから逃げ出した人間だと表明しています。その著者がかなりの紙面をさいて、体育会系の人間の肯定的側面を論じているんですね。

 

体育会系人材の長所は以下の通りです。

 

①コミュニケーション能力が高い、社交性が高い、礼儀正しい、人当たりがよい

②協調性が高い

③活動性が高い、行動力がある

④達成動機が強い、頑張り屋

⑤チャレンジ精神がある、闘争心が強い

⑥意志が強い、継続力がある、忍耐力がある

⑦ストレス耐性が高い

⑧集中力がある

⑨情緒的安定性が高い

 

まさに体育会系人材はいいこと尽くし。

だから企業も体育会系の人材を好んで採用する。

こりゃ敵わんやろ。

僕もこれらの長所を否定しません。学ぶべきものがあります。

 

しかし著者は、これらの長所に隠れた短所を問題視します。

 

①異質な他者への排他性が強い

②情緒的安定性が高いゆえに、自分の内面を振り返らない

権威主義的傾向が強い、権威に従順、権力志向が強い

④現在の体制を疑わない、社会の矛盾に気づきにくい

 

体育会系の人材のポジティブな面が非常に評価されるため、逆にネガティブな面が体育会系組織に蔓延しても問題視されない。

 

さらに、体育会系のネガティブな体質があらゆる日本的な組織に病巣を広げていると著者は指摘します。

体育会系組織の問題点を著者は以下のように指摘します。

 

「上意下達による思考停止」

「忖度の行きすぎが無責任を招く」

権威主義パワハラの容認につながる」

「属人思考に染まる」

「事なかれ主義に陥っている」

「自己抑制による欲求不満が陰湿ないじめを生む」

「団結心の強さが過度の同調圧力を生む」

 

これらはまさに日本的組織の問題点そのものではないか。

 

本書ではヴァリニャーノ著『日本巡察記』、オフチンニコフ著『一枝の桜 日本人とはなにか』、戸部良一他著『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』、山本七平著『「空気」の研究』などを引用。

日本的組織の問題点の深層に肉薄しています。

 

冒頭に書いたように本書は「体育会系上司」を非難し揶揄する内容ではありません。

しかし日本的組織の問題に関心がある方は、興味を持って読めるのではないでしょうか。

まさに「空気の支配」。

これが社会の停滞を招く大問題です。

 

本日の記事は以上です。

 

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