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下品に落ちることなく強く生きる『メンタルの強化書』佐藤優 著

こんにちは、40代オッサンtrrymtorrsonです。

 

いま多読チャレンジをやっています。

読書は成長に必要な自己投資。メンタルがヤバい、これから俺どうしたらいいんだろう、というときに読んでもらいたいオススメの1冊を紹介します。

 

今回は『メンタルの強化書』(佐藤優著)です。

また佐藤優さんの本を買ってしまいました。

 

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休職前からよく読んでいる作家はホリエモン佐藤優さんです。

 

佐藤さんは週刊誌の連載などで読んで、鋭い分析が印象に残っていました。

おそらく外務省官僚時代は剛腕だったのだろうと思わせるあの強面からは想像がつかない、鋭利で繊細な評論の切れ味。

 

佐藤さんは心療内科医ではないにも関わらず、ここ2~3年、講演会や勉強会の後で、自身の心の不調、家族や同僚など、メンタル問題に関する相談を受けることが飛躍的に増えたそうです。

 

本書の冒頭に、今回の書籍のメッセージが書かれています。

 

資本主義の論理がむき出しになった現在の新自由主義経済の下では、繊細で優しい心を持った人が勝ち組になることはまず難しい。「図々しい人」ほどのし上がる。図々しいということは、言い換えれば「下品」だということでしょう。すると成功するためには「下品力」こそ必要だということになります。

その意味で言うならば、メンタルの一番の強化法は「下品になること」だということになります。ただ、それが結論であるならば、この本は必要ありません。

下品に落ちることなく、強く生きるにはどうしたらよいか?この本ではそれを探っていきたいと考えています。

 

身の回りにいる下品な人間、メディアやSNSにいる下品な人間、あなたも心当たりがあると思います。

僕の場合は、メンタル不調に追い込んだ糞上司が「下品なヤツ」ですね。

最近つくづく思うのは、著者が言う「下品な人間」こそ「メンタル不全」ではないのか、ということです。

 

佐藤さんは「下品力」の例として、お金の不安につけ込んだ様々な情報商材と呼ばれる詐欺的な商品を挙げています。

またマネー雑誌などが、「低金利時代には投資しないと乗り遅れる」とあおっていることも、同じくお金の不安につけ込むものだとしています。

 

お金だけでなく、「教養を身につけなければこれからの時代生きていけない」として、高額な講座やセミナーに勧誘することも例に挙げています。

著者はこれを「脅迫としての教養」と呼んでいます。

 

「世の中の動きに乗り遅れると大変なことになる」という「前のめりな生き方」は他者に利用されると著者は警告しています。

一歩引いて、俯瞰で世の中を見る、そういう姿勢が必要ではないかと思います。

 

冒頭で「佐藤氏がメンタル問題に関する相談を受けることが飛躍的に増えた」と書きました。

僕は前に就職氷河期に関する記事を書きましたが、いわゆるメンタル問題と呼んでいるのは、社会構造の急激な変化に追いつけなくなり、個々人の価値観に格差が生じているところに原因があるのではないか。

「メンタルの不調のせい」と一括りにしてしまうのは、思い込みであり思考停止ではないかと思います。

 

佐藤さんは「自己責任」という用語の意味について、次のように指摘しています。

 

そもそも「自己責任」という言葉自体がおかしな言葉です。まず「責任」(responsibility)の本来の意味は、古代ローマにおいて、法廷で訴えられた人物が自分の行為について説明したり弁明したりすることを指します。(中略)ですから、欧米で「責任」とは、「他者とのコミュニケーション上の説明義務」のことであり、改めて「自己」をつける必要はないのです。

さらに言えば英語の「own responsibility」とは日本語の責任とニュアンスの異なる「独断」という意味です。日本語の「自己責任」とは不自然な言葉なのです。

 

正規雇用と非正規雇用の格差が問題となった当時、いろんなところで「自己責任」という言葉が使われました。

いまでも「自己責任論」が当然のように使われています。

 

「自己責任でやってくれ」

「自己責任をきちんと果たしてください」

 

おまけに「自己責任」と「自助努力」が安易に結び付けられ、「非正規雇用になったのは努力が足りなかったから、自己責任だ」という論理が横行しました。

 

佐藤さんも書いているように、「責任」とは「他者に対する説明責任」であるのに、「努力しなかったことの責任が問われる」という社会はおかしいのではないか。

「努力」に「責任」が生じるという理屈は、あまりにも飛躍しているのではないか。

 

著者はこうした社会の歪みを、インテリジェンスの立場から「下品な社会」だと断じています。

「教養なき思考停止」がいかに恐ろしいものか、本書が提示してくれています。

 

本日の記事は以上です。

 

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